JP1でのジョブの実行環境は、マネージャとエージェントによって構成される。
ここでマネージャは、システム全体の実行管理を行い、エージェントは各サーバで実際の業務であるジョブを実行する。エージェントはマネージャと合わせて1つのサーバに配置されても良いが、大規模システムでは複数のサーバにエージェントを配置する分散システムを構成できる。そこで問題になるのが、多くのエージェントから構成される大規模システムの場合やサーバの数や能力がダイナミックに変化する仮想環境の場合、“どこのエージェントでどのジョブを実行するか?”だ。新バージョンでは、この問題を解決するためのエージェント管理機能を追加した。
エージェント管理機能は、ジョブやジョブの実行先となるエージェントホストを論理的な名称でマッピング管理できるようになった。ジョブの実行先としてこの論理的な名称を指定することで、エージェントの物理的な環境に縛られない定義が可能になり、他システムへの移行が容易になるとともに、仮想環境など構成がダイナミックに変化するシステムで威力を発揮する。以下、従来バージョンとのエージェント管理の機能差分主を表に示す。
― | 従来バージョン | 今回のバージョン |
---|---|---|
エージェント管理 | 物理ホスト名管理 | 論理名称管理 |
多重度管理 | 多重度と制限が可能 | 同左 |
多重度越え | 待ち状態 | 同左 |
エージェント負荷分散 | エージェント固定で可 | グループ単位で可 |
なお、JP1 V8など従来システムからの資産移行は、まったく心配が無い。
先に紹介した互換モードによる操作性確保だけではなく、今までのジョブ定義情報やジョブ実行履歴情報などの資産もスムーズに移行できる「移行用コマンド」を提供している。資産情報を変換するコマンド、従来バージョンの資産情報を退避する(エクスポート)コマンドと退避した資産情報をほかのシステムに組み込む(インポート)コマンドが用意されている。
ジョブ管理マネージャ同士の接続はV8およびV9と、マネージャとエージェントは従来のV8のエージェントと接続できる。また最新のV9のエージェントは、最新のV9のマネージャだけではなくV8のマネージャとも接続できる。従来システムへのアドオンや部分入れ替えなど柔軟なシステム構築を可能にした。
注:本文中「ジョブ」と「ジョブネット」は、便宜上どちらも「ジョブ」と表記した。
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