次世代ファイアウォールに3000社以上の引き合い――米Palo AltoのCEO

アプリケーション制御によるセキュリティ対策を展開する米Palo Alto Networksは、多くの企業や組織から注目されているという。同社CEOに日本市場での取り組みなどを聞いた。

» 2009年11月11日 09時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 独自のアプリケーション制御技術を利用した「次世代ファイアウォール」を提唱する米セキュリティ企業のPalo Alto Networksは、ネットワークセキュリティ分野で多くの企業や組織から注目を集めているという。同社CEOのレーン・べス氏に日本市場での取り組みやグローバルでのユーザー動向などを聞いた。

―― 日本法人の設立から半年が経過しましたが、国内市場の感触はいかがですか。

レーン・べスCEO

べス 大企業や官公庁、大学などを中心に多くの組織でテストが進んでおり、本格導入に至るケースが増えつつあります。実際には日本法人の設立以前からパートナーとなっている2社(ネットワンシステムズ、日立システムアンドサービス)が積極的に取り組んでいたこともあり、今後も順調にビジネスを展開できるでしょう。

―― 次世代ファイアウォールという概念がユーザーに浸透しつつあるのでしょうか。

べス 特に感心を寄せているのが金融や製造などの業界です。特に金融業界は2008年の金融危機をきっかけに業界再編が急速に進んでいるため、統廃合後の新しい組織ではセキュリティ対策の再構築が急務になっています。

 こうした組織では以前の業務環境をそのまま継承しているところも多く、セキュリティ対策を再構築する上では、まずはアプリケーションやネットワークの利用状況を把握したいというニーズがあります。われわれはこうした課題に対処するため、アプリケーションの利用を可視化できるファイアウォールソリューションの開発に注力してきました。

 当初われわれが提唱する概念は、調査機関などが「ファイアウォール+IPS(不正侵入防御)」と定義しましたが、今ではアプリケーションコントロールというように再定義しました。これを受けて3000社以上からの引き合いがあったほどです。

 しかし、われわれが実現したいセキュリティソリューションを正確に定義するのはまだ難しいですね。ほかにもURLフィルタリングや情報漏えい対策、プロキシといった機能を取り込んでいけると思いますが、われわれは個々の機能を取り込むというよりもネットワークインフラのセキュリティプラットフォームになるという戦略を持っています。

―― セキュリティ機能を包括していくというアプローチはUTM(統合脅威管理)も同様のものだと思いますが、UTMとは違うのでしょうか。

ベス UTMは既存のセキュリティ対策を便宜的に集めたにすぎません。拡張性が乏しく、セキュリティ機能を多用すればするほどパフォーマンスも低下します。一方、われわれはトラフィックを各種のセキュリティ機能をシングルパスで通過させる仕組みでパフォーマンスの劣化に影響しないアーキテクチャを実現しています。

―― 既存製品は大規模システム向けのものが中心のようですが、中小企業市場への展開などは考えていますか。また、今後の製品展開はいかがでしょうか。

ベス われわれは成長途上にあり、まずは大企業やデータセンター、サービスプロバイダーといった大規模システムを有するユーザーに評価されることを目指しています。中小規模のシステム環境向けに製品もすでに用意しており、機能や動作はハイエンドモデルとほぼ同一ですので、将来的なシステムの拡張にも耐えるでしょう。市場への本格的なアプローチは、次のステップになる計画です。

 製品面では、クラウドコンピューティングや仮想化環境の本格的な普及に合わせてパフォーマンスや機能を高めた製品を投入する準備を進めています。一部には100Gbpsのネットワークを志向する動きもありますが、現状では企業向けでは10Gbps、データセンターでも20Gbpsのパフォーマンスがあれば、ユーザーのニーズを十分に満たせると考えています。

―― 今後、日本市場ではどのような取り組みを検討していますか。

ベス 販売面では今のパートナーとの関係をより強固なものにしつつ、流通網をさらに広げていく計画です。具体的にはネットワークサービス事業者や、マネージドサービス事業者とのパートナー関係を広げたいですね。日本は世界でも有数の市場規模なので、早期に全社業績に占める割合で10〜15%に高め、地域別では米国に次ぐ2番目にできるようしたいと思います。

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