会社を批判するということ不景気時代の会社と従業員の関係(4)

ソフトバンクなどさまざまな企業において豊富なビジネス経験を持つ大木豊成氏に、不景気時代の会社と従業員のあるべき姿について話してもらう寄稿の第4回。

» 2009年11月20日 08時00分 公開
[大木豊成,ITmedia]

 ソフトバンクなどさまざまな企業において豊富なビジネス経験を持つオルタナティブ・ブロガーの大木豊成氏に不景気時代の会社と従業員のあるべき姿について話してもらう寄稿の第2回。第1回はこちら、第2回はこちら、第3回はこちらです。


 会社を批判することはとても簡単です。経営者にも、上司にも、揚げ足をとるポイントはたくさんあるでしょうし、完璧な会社はなかなかないと思います。しかし、これまでに書いてきたことをご覧いただいた皆さまには、われわれ会社員には、会社を批判するよりも前にやるべきことがあることにお気づきになると思います。

 時代は刻々と流れており、人材に対するニーズもどんどん変わっています。昔なら「これだけ出来ればいい」とされていた職種でも、あれも必要、これも出来ないと、といったことが増えてきています。

 ご自身の会社を考えてみてはいかがでしょう。その会社の創業者が一人で立ち上げてきた会社、当時はすべてトップダウンで行われてきたことも、10年も経てば体制が変わり、マネジャークラスがリードしていくことを求められている、といったことが頻繁に起きています。また、もっと経てば代替わりしてしまっているということも考えられます。

プロアクティブであるということ

 決して個人事業主の集まりではないはずですが、実際にはプロアクティブであることが求められます。Proactive(自発的)はActive(活発)よりもさらに、率先して物事を推進することを指します。よって、われわれ会社員は、目の前にある仕事に自発的に取り組むばかりではなく、率先して次の課題解決に向けて動き出すことが求められるように感じています。

 わたしは、Proactiveを「Pro」と「Active」に分けて、プロフェッショナルがActiveにやることだと考えています。プロフェッショナルであれば、指示を待つのではなく、あるいは愚痴を言うのでもなく、まず自発的に動くことが求められるのだと思います。

プロフェッショナルということ

 先述したプロフェッショナルというのは、いったいどういう意味なのでしょうか。給料、報酬をもらっている仕事は、すべてプロフェッショナルの仕事であるはずなのですが、残念ながらそうは思えない仕事をする人がいます。だから、プロフェッショナルという言葉を使った書籍が多く出版されているわけです。

 プロフェッショナルといえる人は、自らが結果を出すべく動き回っている人だと考えています。動き回っているから、考えているだけより強いし、結果の出る可能性も高まります。

 「自分はプロフェッショナルである」「自分はプロフェッショナルでありたい」そう考えることで、動きも変わってくる気がします。

不平不満をいう前に

 「うちの社長は」「うちの部長ってさ」居酒屋で愚痴を言っている範囲はいいのでしょうが、会社という空間に入ったら、われわれ会社員は会社を批判することより、もっと重要なことがたくさん転がっているはずです。

 自分がやるべきこと、あるいは自分の領域外でもできるはずのこと。それらを片付けることなく、不平不満を言い続けることは、周囲のモチベーションを下げるのみならず、自分自身のためにもなりません。もっと周りを見わたしてみてはどうでしょうか。

終身雇用制の崩壊と自己の取り組み

 以前とは違い、生涯一つの会社で働き続ける人は減っています。企業も、終身雇用制ではなくなってきています。

 特にわたしたちのIT業界では、ある一定の年齢になると転職という言葉がちらつき始めることが多いようです。転職を薦める会社もありますし、周りもちらほら転職していきます。隣の芝生が青く見える時期なのだと思います。

 転職することも1つの解決策かもしれませんが、それ以前に現在の職場をよくしていこうという努力があってもいいのだと思います。それでも転職せざるを得ないこともあるのでしょうが、努力をしてから辞めるのと、そうではないのでは大きな違いがあるように考えています。

会社に評論家は必要ない

 僕がいままで勤めてきた会社にも、評論家気取りの人は少なくありませんでした。誰かがやったこと、言ったことに対して評論する。しかし、その評論には結論付けはないのです。結論のない評論など、意見とはいえないわけです。

 もし、あなたの周りにそういう評論家がいたら、どう感じるでしょうか。不愉快でしょうか、それとも同調するでしょうか。

 これからの会社で生きていく人たちは、そこに決して同調することなく、あるいは不愉快に感じる必要もないのだと思います。不愉快に感じるのではなく、反面教師としてとらえ、自分はそうはならないように、と腹をくくることで、自分を高い視点に持っていくことができるのだと思います。

 オフィスの中には決して評論家は必要ないのです。評論家気取りで話している人は、どんなことにも後出しじゃんけんであるわけです。自らが率先して発言し、リーダーシップを発揮する人は、決して後出しじゃんけんはしません。それは、社内で評論していても、何も良くならないことを知っているからです。

 リーマンショックと言われ始めた時期から1年。景気が上向いてきたのは一部の企業だけです。われわれは、さらに努力が必要になるわけですが、ぜひproactiveに、楽しみながら進んでいきましょう。

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著者プロフィール:大木豊成(おおき とよしげ) 

大木豊成

Xarts株式会社 常務取締役。米国PMI認定ProjectManagementProfessional取得。シンガポール大学卒業後、数々の事業立ち上げおよび企業立ち上げを経験。ソフトバンク在籍中の経験を「ソフトバンク流『超』速断の仕事術」(ダイヤモンド社)にまとめて出版した。現在は上記企業の他、学校での講師、講演などで奔走する。


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