「サイボウズLive」をセカンドグループウェアに――無料Webサービスで新機軸

サイボウズは無償のWebグループウェアを2010年前半に提供すると発表した。社外の取引先や友人、家族などとスケジュールを共有できる「セカンドグループウェア」を売りに、無償公開で利用者を幅広く集めたい考えだ。

» 2009年11月27日 08時50分 公開
[藤村能光,ITmedia]

 サイボウズは11月26日、社外の人や家族、友人とスケジュールやアドレス帳を共有できるグループウェアの新たなWebサービスを2010年前半に提供すると発表した。グループウェア上で特定のグループを作成し、情報を共有できる仕組みで、20人までのグループの作成は無料でできる。グループウェアのWebサービスを無償で提供することで、自社製品の潜在ユーザーの獲得を図る考えだ。

 発表したWebサービスの名称は「サイボウズLive」。スケジュールや掲示板、ファイル共有といったグループウェアの機能をグループ単位で使えるのが特徴だ。利用者がプロジェクトや案件ごとに作成した任意のグループに利用者を招待すると、グループ内でオンライン上のディスカッションや文書共有ができる。

 名称や登録メンバーを入力するだけで手軽にグループを作成できる。「慣れれば5秒もかからない」使いやすさだという。グループは複数作成でき、それらの情報を1つの画面で閲覧できる「ホーム」と呼ぶポータルページも用意している。所属するグループ以外の利用者には、ほかに所属しているグループは非公開と表示される。

サイボウズLiveの「ホーム」画面サイボウズLiveのトップページ サイボウズLiveの「ホーム」画面(写真左)とトップページ(写真右)

 サイボウズLiveの特徴的な機能として「アドレス帳」が挙げられた。あるグループに所属すると、その利用者の情報がアドレス帳に追加される。登録しているプロフィール情報とアドレス帳が自動的に同期されるため、所属するグループの全利用者の詳細な情報を知ることが可能となる。サイボウズLiveの開発を手掛けたネットサービス事業本部 事業企画部長 サイボウズLive プロダクトマネジャーの丹野瑞紀氏は「人と人とがつながり、成長していくもの」とアドレス帳を位置付けた。

 iPhoneや3キャリア(NTTドコモ/au/ソフトバンク)の携帯電話にも対応させた。携帯電話との連携を強化することで、「外出先からPowerPointやWordなどを閲覧し、プロジェクトの概要などを把握する」(丹野氏)といった用途にも応える。

 PCに専用ソフト「サイボウズLiveシンク for Windows」をインストールすると、グループウェア「サイボウズ Office8」に入力した予定を、サイボウズLiveのスケジュールと同期することもできる。今後は大規模企業向けのグループウェア「サイボウズ ガルーン2」やGoogleカレンダーのスケジュールとも同期できるように、専用ソフトを開発していく。

 1グループ20人までのメンバーで利用する場合、価格は無料。1グループ21人以上で利用する場合は、「月額数百円程度」(丹野氏)の利用料が発生するとしている。

無料Webグループウェアで利用者を獲得

 丹野氏は3月に同サービスを「今夏に提供する」と話していた(「誰でも使えるクラウド」を作る――サイボウズ、今夏にクラウドを新展開 )。サービスの開始が遅れたのは、8月からは同サービスをネクスウェイや東洋大学などに試験運用してもらい、サービスの改良につなげていたからだという。ネクスウェイでは部門を横断した勉強会のスケジュール管理、東洋大学では他大学の担当者との情報共有にサイボウズLiveが活用された。

サイボウズLiveをアピールする青野慶久社長 青野社長もサイボウズLiveを既に愛用。家族や同級生とグループを作り、やり取りをしているという

 ユーザー数を限定して無料で同サービスを提供する狙いは、利用者を幅広く集めるため。同社のグループウェアを使う利用者は専用ソフトでスケジュールを同期できるため、グループウェアそのものの販売数の増加につながる可能性もある。専用のiPhoneアプリの提供やAPIの公開も予定しており、ユーザーのすそ野を広げる戦略を取っていく。

 青野慶久社長はサイボウズLiveを「(サイボウズの)12年の歴史を振り返っても斬新なサービス」と位置付ける。社内の情報共有に用途が限定されていたグループウェアから、友人や家族など会社を超えた情報共有が可能になる「セカンドグループウェア」をコンセプトに掲げ、新サービスに自信を見せていた。

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