Microsoftの2010年は明るいか――Windows 7、クラウド、Bingに期待(1/2 ページ)

検索、クラウド、そして苦戦している携帯と、多方面でGoogleと激しい競争を繰り広げるMicrosoftにとって、2010年はどんな年になるのだろうか。

» 2010年01月06日 11時45分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 Microsoftにとって収益の減少と多数の製品分野での競争激化という逆風にさらされた2009年は、同社の歴史の中であまり良い年ではなかったようだ。2010年に状況が好転するかどうかは不明だが、レドモンドは幾つかの明るい兆しに期待をかけている。Windows 7Bing(同社の検索エンジン)はいずれも大きな問題なしにリリースされ、好調な滑り出しを見せている。これは今年、さらに大きな飛躍が期待できることを意味する。

 しかしMicrosoftは、困難な課題にも直面している。米Yahoo!との検索広告提携は、Bingの市場シェアを3倍近く拡大する可能性があるものの、米Googleはオンライン検索分野で依然として支配的地位を維持している。Microsoftのモバイル事業もまだ弱体であり、AppleやRIM(Research In Motion)などの企業との厳しい競争にさらされている。また、景気が回復しなければ、PCの販売増加に伴うMicrosoftのソフトウェアの売り上げ拡大を期待することはできない。

 では、2010年はどんな年になるのだろうか。幾つかの重要な分野におけるMicrosoftの今年の状況を展望してみよう。

MicrosoftとYahoo!の契約が発効――Googleに本格チャレンジ

 Microsoftは2009年6月に検索エンジンBingを公開し、その開発とマーケティングに巨額の資金を投じた。今年、Bingの市場シェア拡大に最も貢献をする可能性が高いのは、Microsoftのスティーブ・バルマーCEOとYahoo!のキャロル・バーツCEOとの間で締結された検索広告契約だ。

 MicrosoftとYahoo!は2009年7月29日、Yahoo!のサイトの検索エンジンとしてBingを採用し、Yahoo!が両社の検索広告主への独占的販売をワールドワイドで引き受けるという内容の10年契約を発表した。両社では、この提携が独禁法当局に認可されるとみており、契約は今年発効する見込みだ

 Yahoo!の市場シェアがほとんどそのままBingに移動すると仮定した場合、両社の契約が発効すれば、米国の検索エンジン市場におけるMicrosoftのシェアは30%近くに達する可能性がある。だがGoogleは依然として同市場の約70%を支配しているため、Bingが少しくらい強力になったからといって、その存在が脅かされることはないだろう。とはいえ、2010年はオンライン検索分野の勢力地図が、市場シェアをめぐって死闘を演じる2つのエンジンに収束することになりそうだ。Yahoo!は検索市場から完全に撤退し、Webアプリケーションプロバイダーへの脱皮を図る考えのようだ。

 BingとGoogleは今年も、検索機能をめぐる遺恨試合を続けるだろう。Microsoftは2009年11月12月に、Bingの新機能を幾つか発表した。その1つが、GoogleのStreet Viewの強力なライバルとなる「Bing Maps」のβ版だ。また、Bingでは動画検索ページが改善されたほか、Wolfram|Alpha Alphaの検索結果も統合された。MicrosoftとGoogleは今年、競合機能の改善とアドオンをめぐって新たな戦いを繰り広げることになりそうだ。

 Microsoftは今年、中国をはじめとする海外市場でもBing事業を展開する方針だ。しかし海外市場におけるGoogleの基盤は強固であり、MicrosoftとYahoo!との提携が米国に限定されていることを考えれば、Bingが米国外で市場シェアを拡大するのは容易ではないかもしれない。

Windows 7効果で収益好転の可能性

 景気後退はMicrosoftに大きな打撃を与えた。同社の2009年第4四半期(4〜6月期)の売上高は、ウォール街の予測を約10億ドル下回り、前年同期比で17%の減少となった。その次の四半期の決算では、前年同期比14%マイナスと減収幅はやや小さくなったものの、営業利益、純利益、希薄化後1株当たり利益は、いずれも引き続き2けたの落ち込みとなった。

 MicrosoftとそのOEM各社では、WindowsベースのITインフラを利用している企業が今年、Windows 7をシステム更新の口実にして、新世代のMicrosoft製品を購入するものと期待している。Microsoftの幹部らは米eWEEKによるインタビュー、さらに投資家とメディアを対象とした電話会見において、2010年以降はWindows 7と関連製品の販売増加とPCの購入拡大が足並みをそろえる格好になるとの見通しを示し、Microsoftの運命はIT産業全体の運命と不可分に結び付いていると述べた。

 企業でITインフラの更新が起きる可能性があると考えているアナリストは少なくない。

 Jefferiesのアナリスト、キャサリン・エグバート氏は2009年11月12日付の報告書で「Windows 7を引き金とするアップグレードサイクルが2010年後半に始まり、2013年初頭まで続く可能性がある。新規ハードウェアの購入がソフトウェアのアップグレードよりも6カ月ほど先行すると予想される」と述べている。

 しかし再び景気が落ち込む可能性もあり、その場合、企業は予算の引き締めにかかるため、ITインフラの更新は必然的に鈍化するだろう。いずれにせよ、Microsoftの幹部たちは期待が膨らむのを抑えるのに躍起になっているようだ。2009年10月23日の収支報告でMicrosoftのクリス・リデルCFO(最高財務責任者)は、IT更新の見通しについて同社は相変わらず「適度な警戒心」を抱いていると述べた。スティーブ・バルマー氏も先に同様の発言をしている。

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