犯罪ツール市場で顧客争奪戦? Zeusを脅かすロシアの新勢力

猛威を振るう犯罪ツールキット「Zeus」に対抗する新勢力「SpyEye」が浮上している。ボット戦争の再来になるのか……。

» 2010年02月05日 09時16分 公開
[ITmedia]

 犯罪目的で多数のコンピュータをマルウェアに感染させて制御するための「犯罪ツールキット」の闇市場で、顧客争奪戦の様相が見られると、セキュリティ企業の米Symantecが2月4日のブログで伝えた。

 犯罪ツールキットは、トロイの木馬やボットネットなどのマルウェア作成ツールと感染コンピュータ制御ツールなどをセットにしたもので、これまで「Zeus」が圧倒的な勢力を誇っていた。しかし2009年12月下旬ごろからロシア発の犯罪ツールキット「SpyEye」が浮上。同国の闇フォーラムで500ドルで販売され、Zeusの市場に食い込んでいる様子だという。

 SpyEyeはZeusと同様、マルウェア作成用モジュール、設定ファイル、ボットネット制御のためのWebコントロールパネルなどがセットになって販売され、新機能を加えた更新版が定期的にリリースされているという。その展開を見ると、いずれ犯罪ツール市場を制する存在になるかもしれないとSymantecは見る。

 特に最新バージョンの1.0.7で注目されるのは、「Zeusキラー」という新機能。これは感染したシステムからZeusを削除する機能とみられ、もしSpyEyeの勢力が強まれば、Zeus側が弱体化する可能性もある。そうなった場合、Zeus側からの報復を招き、かつてBeagleとNetsky、Mydoomの間で展開されたようなボット戦争の再来になるかもしれないとSymantecは予想している。

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