世界で勝つ 強い日本企業のつくり方

日本企業と世界市場の距離を縮めるグローバルサイト世界で勝つ 強い日本企業のつくり方(1/3 ページ)

日本企業の海外展開においては、グローバルサイトを持つことが必要になる。グローバルサイトが販売チャネルやマーケティング活動の窓口となり得るからだ。本稿では、ビジネスと密接に結び付くグローバルサイトの構築法を伝える。

» 2010年06月18日 08時00分 公開
[大里真理子(アークコミュニケーションズ),ITmedia]

 品質問題から端を発したトヨタ自動車の一連のトラブルには、グローバルに事業を展開するすべての企業が抱える問題が凝縮されている。グローバルに生産や販売を手掛けると、起きた問題が特定の地域では収まらないこと、異文化の人々から理解される対応をする必要があること、解決までの時間が長くなると被害が等比級数的に大きくなること――などが具体的な問題だ。

 こうしたリスクと常に隣り合わせなのがビジネスのグローバル化であり、日本企業はこれを避けられない。日本の輸出依存度は近年急上昇しており、在日外国人や来日する外国人の数も既に900万人を突破している。国内外において、グローバル化が待ったなしで進んでいるのが現状だ。

日本企業と世界市場を近づけるグローバルサイト

 グローバル市場に参入する企業が増えるにつれ、外国人に対するマーケティングコミュニケーションの重要性も高まってくる。その役割を担うのが企業のグローバルサイトだ。

 日本に比べて販売チャネルや商品・サービスの浸透度が低い新興国市場では、企業のグローバルサイトが、短期間かつ低コストで営業やマーケティング活動を展開するための窓口になる。既存のマーケティング手法とのバッティングを心配する必要が少ない新興国市場では、Twitterなどの新たな取り組みにも積極的に着手しやすい。もしグローバルサイトで成功事例を作ることができれば、その手法をテストマーケティングなしで国内サイトに導入することも可能だ。

 コーポレートブランディング活動の足掛かりとしてもグローバルサイトは重要だ。さまざまなステークホルダーに応じたメッセージを発信しながら、統合されたブランドイメージをグローバルサイト上で訴求できるからだ。また企業に都合の悪い事件が起こっても、グローバルサイトを使えば、状況報告や今後の対応を直接ステークホルダーに迅速に伝えられるため、危機管理の面でも有意義といえる。

 このように、グローバルサイトは日本企業と世界市場の距離を近づける。では、グローバルサイトを効果的に企画/設計/構築/運用していくにはどうすればいいか。本稿では5回にわたり、グローバルサイトを構築するための考え方や担当者が直面する課題、そしてその解決法を提示する。

グローバルサイトの定義

 グローバルサイトとは何か。一般的には、世界標準を意識した高い汎用性を持つWebサイトを指し、対象とする地域の言語、文化や環境を考慮したサイトという意味合いを持っている。

 だが、グローバルサイトという言葉自体はそれほど一般的ではなく、厳密な定義もない。同様の意味を含むキーワードをGoogleで調べると、以下の結果になった(2010年6月調査)。本記事ではこれらをグローバルサイトとし、厳密に定義せずに使っていく。

言葉 検索結果の件数
外国語サイト 779万件
多言語サイト 202万件
英語サイト 3400万件
グローバルサイト 692万件
海外向けサイト 1220万件
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