日本SGI、コンテナ型データセンターに新モデル――他社のサーバ、ストレージに対応

日本SGIは、同社のコンテナ型モジュラーデータセンター製品を他社サーバ、ストレージに対応させる。アセスメントサービスとあわせ国内初導入を目指す。

» 2010年07月06日 18時47分 公開
[石森将文,ITmedia]
日本SGIの中津社長 環境立国に貢献したい、と意気込みを述べる日本SGIの中津社長

 日本SGIは7月6日、昨年リリース済みの同社のコンテナ型モジュラーデータセンター製品「SGI ICE Cube」に、新モデルを追加すると発表した。同日より販売開始する。

 ラインアップ拡充の主眼は、マルチベンダー対応にある。具体的には、従来からある「デュアルローモデル」に加え、「ユニバーサルモデル」を追加した。デュアルローモデルではSGI製品しか搭載できなかったが、ユニバーサルモデルはAltix、Rackable、InfiniteStorageなどに加え、他社製サーバやストレージを含むあらゆるラックマウントシステムに対応した。

 またデュアルローモデルにも、汎用の19インチラックを2台設置可能なモデル(ハイブリッド構成モデル)を追加した。“将来的には完全に(ICE Cube環境へ)移行する計画だが、一時的に既存環境も残したい”といったニーズに対応する。

 一般的に、データセンターを構築する際には、IT機器だけでなく不動産や建築設備の調達コストと減価償却費を考慮する必要がある。当然、設備の経年劣化にも対処せねばならない。だがデータセンター事業のビジネスモデルは「立ち上げ当初はテナントが少ない(収支は赤字)が、徐々に増え、数年を経ての黒字化を目指す」というものであり、リスクも踏まえて慎重にプランする必要がある。

 実際のところコンテナ型データセンターの市場は、国内では“まだこれから”という状況であるが、データセンター設置時のファシリティコストとその後の設備維持コストを激減し得るソリューションとしては期待される。スモールスタートでデータセンター事業を始められる点も見逃せないメリットだ。

 日本SGIの中津信彦 代表取締役社長兼CEOも「省電力や環境配慮という切り口からも、国内経済にインパクトを与えたい。“環境立国”への貢献もできれば」と話す。特に電源力効率については、PUE(Power Usage Effectiveness:データセンター全体の消費電力のうち、IT機器が消費している電力を示す指標。1.0に近いほど高効率とされ、現在の一般的なデータセンターは1.5〜2.0が主流)で1.12という数値を達成したという。

 残念ながら「国内での導入事例はまだない」(中津社長)というが、昨年来、ユーザーからの相談自体は増えているという。日本SGIでは、日本の法規制や(気候も勘案した)土地の選定、物理セキュリティなどについて構築支援サービスを通じて解決を図るとしており、新モデル追加による他社製品対応とあわせ、近いうちの国内初導入が期待される。

ICE Cubeのモデル一覧 ICE Cubeのモデル一覧

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