Intelによる買収を選んだMcAfeeの理由500億のデバイスにセキュリティを提供(2/2 ページ)

» 2010年09月10日 20時18分 公開
[國谷武史,ITmedia]
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セキュリティベンダーの将来

―― 買収金額についてはどのように評価されますか。

ワッツィンガー氏 Intelは我々の技術を非常に高く評価してくれていると考えます。製品技術もそうですが、最大のポイントは我々が20年をかけて構築した「Global Threat Intelligence」(GTI)という脅威分析の情報基盤になります。今後のITセキュリティでは、GTIが大きな役割をはたしていくでしょう。

―― IT業界では以前からMcAfeeが買収されるのではないかといううわさがありました。近年はEMCやHP、IBMといった大手ITベンダーがセキュリティベンダーを取り込む動きが加速していますが、なぜIntelとの関係を選ばれたのでしょうか。

ワッツィンガー氏 うわさに対して、我々は言及する立場にありません。ただ大手ITベンダー各社はセキュリティを非常に重視しており、セキュリティベンダーを取り込むことを常に検討しています。我々にも自前のビジネスプランがあり、それを推進していますが、先に述べたようなIntelとのこれまでの関係を通じて、将来に向けたお互いの考えが一致したということです。

 セキュリティの脅威は今後も存在し、セキュリティの重要性はより大きなものになっていくでしょう。しかしセキュリティビジネスを単独で継続していくにはやはり限界があり、我々はIntelとの関係を選びました。

 将来のセキュリティ業界は、大規模な専業ベンダー数社と優れた技術を持つ小規模ベンダーが残り、それ以外のセキュリティベンダーは、セキュリティ以外の分野に統合されていくでしょう。今後数年間でセキュリティ業界の構図は劇的に変化するとみています。

―― 買収完了後はIntelのソフトウェア&サービス部門の傘下になりますが、McAfeeとしてのビジネスはどのようになるのでしょうか。

ワッツィンガー氏 Intelの一員にはなりますが、今後は独立子会社としてこれまでのビジネスを継続していきます。ビジネスモデルや経営体制も変わりません。今回のIntelによる買収が我々の顧客に影響を与えることはありません。

 その上で我々はグループの一員として、新たなチャレンジが可能になるでしょう。ソフトウェア&サービス部門の中には、組み込みOSの市場で33%のシェアを持つWind Riverがいます。我々にはこれまで組み込みOSの市場への足掛かりがなかったのですが、Wind Riverとシナジーを生み出せるかもしれません。

 例えば世界中のオフィスには7〜8億台のプリンタが存在し、多数の機器がWind RiverのOSで稼働しています。しかしプリンタには強固なセキュリティの仕組みがありませんでした。我々には情報システムでのさまざまなセキュリティ状況を一元的に管理していく仕組みがあります。Wind Riverとともに組み込みOSの中に強固なセキュリティを実装することで、プリンタを含めた統合的なセキュリティ管理を実現できるでしょう。

 我々とIntelは、遠い将来を見据えたビジョンを共有しています。このビジョンに基づいて、ユーザーにセキュリティを提供していきます。

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