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» 2010年10月19日 11時22分 公開

日本コンピュウェア 「Webアプリの性能が企業の命運を決める」

Webアプリケーションの稼働を支える全要素をエンド・ツー・エンドで監視するSaaS型製品を日本コンピュウェアが発表した。

[内野宏信,ITmedia]

 日本コンピュウェアは10月15日、SaaS型のWebアプリケーション性能管理製品「Compuware-Gomez First Mile」を発表した。WebブラウザやiPhoneなどの各種端末から、プロバイダ、インターネット、またサーバなどのデータセンター内部のシステム構成要素まで、Webアプリケーションの稼働を支える全要素をエンド・ツー・エンドで監視する。これにより、アプリケーションのパフォーマンスを、“エンドユーザー視点で”詳細かつシンプルに把握できるほか、問題発生時には原因個所を迅速に特定できるという。既存のSaaS型アプリケーション性能管理製品「Compuware-Gomez」の追加機能という位置付けであり、SaaS提供のため導入は数時間で済むという。

 併せてサーバやストレージ、ネットワークなど、アプリケーションを支える各システム構成要素の稼働状況と、ユーザーエクスペリエンスへの影響度を関連付けて詳細に可視化するサービス管理製品「Compuware Vantage」も機能を拡張した。

Webアプリケーションのデリバリチェーン全体を監視

 ビジネスにWebアプリケーションが深く浸透しているいま、そのパフォーマンスは企業の収益性、信頼性、ブランド性に大きな影響を及ぼす。そうした状況を受けて、コンピュウェア アジアパシフィック ソリューションセールスディレクター日本担当のラフィ・カタナショウ氏は、「Compuware-Gomez First Mile」について次のように解説する。

 「キーワードは“First to Last mile”――エンドユーザーとの接点となるブラウザや各種デバイスから、データセンター内部のITインフラまで、Webアプリケーションの稼働を支える全要素を監視し、アプリケーションのパフォーマンスを安定的に担保する環境を迅速に整えられる点が最大の特徴だ」

 具体的には、サーバのCPU使用率など、データセンター内でアプリケーションの稼働を支えている各システム構成要素の稼働状況から、エンドユーザーが体感するレスポンスタイムまでを関連付けて監視。「データセンター内外のパフォーマンスの状況が、何人のユーザーに、どれほどのページビューに、影響を与えるのか――『ビジネスへの影響度』をグラフや数値で瞬時に可視化し、対策の優先順位付けを支援する」という。

コンピュウェア アジアパシフィック ソリューションセールスディレクター 日本担当のラフィ・カタナショウ氏 コンピュウェア アジアパシフィック ソリューションセールスディレクター 日本担当のラフィ・カタナショウ氏

 ポイントは、ビジネスプロセスに沿ってWebアプリケーションのパフォーマンスを可視化する「オペレーションズダッシュボード」機能を持つこと。例えば、Eコマースであれば「ショッピングカートに入れる」「カード決済を行う」といった、さまざまなプロセスがあるが、そうした各プロセスの実行を担う Webアプリケーションの機能を、データセンターやインターネット、サードパーティのシステムなどが支えている。

 オペレーションズダッシュボードは、そうした各プロセスの実行状況をグラフと数値で可視化するほか、各プロセスの実行を支えているデータセンターやインターネットなどの稼働状況を、任意に設定したKPIに基づいて「緑/黄/赤」のアイコンで表示する。さらに、そのアイコンをクリックすると、データセンター内の各種サーバの稼働状況など、そのプロセスを支える各システム構成要素の詳細な稼働データまでドリルダウンできる仕組みとしている。

 「つまり、システム管理者はこのダッシュボードを見て、全ビジネスプロセスの円滑な遂行をひと目で把握できる仕組み。仮に黄や赤で表示されているアイコンがあれば、それをクリックして情報をドリルダウンすれば、Webアプリケーションの、ある機能のパフォーマンスを押し下げている原因個所はどこにあり、何が原因となっているのか、瞬時に把握できる。すなわち、ビジネスへの影響を最小限に抑えたプロアクティブな問題解決が可能になるというわけだ」

 ちなみに、既存のアプリケーション性能管理製品「Compuware-Gomez」は、2つの監視手段を使ってファイアウォールの外側――エンドユーザーが使うブラウザ、各種端末と、インターネット上――における稼働状況を提供してきた。監視手段の1つは「バックボーン監視」。同社は全世界の主要ベンダ、ISPが持つバックボーンのうち、100カ所にモニタリング用の専用端末を設置させてもらっている。「バックボーン監視」は、そこからアプリケーションのレスポンスなどを客観的にモニタリングし、「Compuware-Gomez」ユーザーに提供するというものだ。

オペレーションズダッシュボードは、各プロセスの実行状況をグラフと数値で可視化。また、各プロセスを支えているデータセンターやインターネットなどの稼働状況を、任意に設定したKPIに基づいて「緑/黄/赤」のアイコンで表示する オペレーションズダッシュボードは、各プロセスの実行状況をグラフと数値で可視化。また、各プロセスを支えているデータセンターやインターネットなどの稼働状況を、任意に設定したKPIに基づいて「緑/黄/赤」のアイコンで表示する

 もう1つは、同社の本社ホームページからエンドユーザーに専用エージェントプログラムをダウンロード、インストールしてもらい、各エンドユーザーの端末からアプリケーションの稼働状況をモニタリングする「Last Mile機能」。こちらには協力ユーザーの端末が全世界に12万台あるという。

 こうした「バックボーン監視」と「Last Mile機能」によって、ファイアウォールの外側におけるWebアプリの稼働状況について、「“ノイズのない、ピュアな稼働状況”を提供してきた」わけだが、今回のCompuware-Gomez First Mileには、実ユーザートランザクションと擬似トランザクションを用いた「パフォーマンス監視機能」を搭載することで、ファイアウォールの内側――すなわちデータセンター内部――の稼働状況も監視可能とした。これにより、ファイアウォールの内外、すなわちエンド・ツー・エンドの稼働状況監視を実現したというわけだ。

Compuware VantageはVMware環境、WAN最適化環境にも対応

 なお、今回は既存のサービス管理製品「Compuware Vantage」も機能を拡張した。こちらはサーバやストレージ、ネットワークなど、アプリケーションの稼働を支えているITインフラ構成要素の、より詳細な稼働状況を監視し、その稼働状況がエンドユーザーが体感するサービスにどんな影響を与えるのか、グラフで可視化する製品だが、今回からVMware環境にも対応し、物理・仮想が混在した環境でも利用可能とした。

 また、WAN通信のスループットを向上させるWAN最適化ツールとして、リバーベッド、シスコからWaaS(Wide Area Application Acceleration Services)ソフトウェアが提供されているが、このWaaSを使ったWAN最適化環境にも対応した。さらに、Java/.NETの稼働状況を、ユーザーエクスぺリエンスの観点から監視する機能も追加し、アプリケーションのパフォーマンスに問題があればメソッドのレベルまで、即座に問題をドリルダウン可能としたという。

Webアプリのパフォーマンスが企業のCRM戦略を左右する時代

 近年は、Eコマースやオンラインバンキング、各種業務システムなど、Webアプリケーションが日常に深く浸透しているため、アプリケーションのパフォーマンスはビジネスに多大な影響を与える。そのレスポンスタイムが遅れてユーザーに不快な体験をさせれば、Eコマースなら機会損失を招き、ビジネスなら業務そのものを遅滞させる。場合によっては、その回復に多大な時間とコストが掛かる企業の信頼性、ブランド性を失墜させることにもなりかねない。

 また、従来はアプリケーションを支える各システム構成要素を個別に管理するスタイルが一般的だったが、各要素が正常に稼働していても、何らかの要因でアプリケーションのパフォーマンスに問題が生じることがある。そうした際は各管理者が集まり、各システムのログデータなどを見ながら時間を掛けて原因個所を絞り込んでいくのが一般的だ。だが、各管理者の担当範囲がサイロ化しているため、分析には手間と時間が掛かるのが常だった。

 こうしたことも手伝って、“システム管理者の視点”だけではなく、“エンドユーザーの視点”からアプリケーションのパフォーマンスを管理する APM(アプリケーションパフォーマンスマネジメント)は多くの企業の注目を集めているわけだが、カタナショウ氏は「Compuware-Gomez First Mileは、まさしく『どのようなエンドユーザー体験を与えているのか』――これを把握することに100%フォーカスした製品。ユーザーエクスペリエンスから、アプリケーションを支えているITインフラの詳細な稼働状況まで、一貫して見通せるようになった意義は大きい」とあらためて力説する。

 また、日本市場について、「Web活用においては日本はかなりの先進国の1つ。以前から品質を重んじてきた日本では、Webで提供するサービスについても、多くの企業が優れたホスピタリティを重視している」と指摘。「コンピュウェアとしても日本市場に期待している」と述べたうえで、「今後の販売目標は5年間で100億円。日本だけでグローバル全体の売り上げの10%を占めるレベルにまで引き上げたい」と抱負を語った。

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