絶えず改善し続けるeBay、十数ペタバイトの「Big Data」も分析Teradata PARTNERS 2010 Report(1/2 ページ)

「Teradata PARTNERS 2010」で現地時間の10月26日午前、ユーザー事例講演の目玉ともいえるeBayが登場した。地球規模のインターネットオークションサイトでは「分析がDNA」であり、TeradataやHadoopを組み合わせ、十数ペタバイトの「Big Data」も活用している。

» 2010年10月28日 07時49分 公開
[浅井英二,ITmedia]
eBayで分析基盤を担当するラッツェスバーガー氏

 カリフォルニア州サンディエゴで開催中の「Teradata PARTNERS 2010」では、米国時間の10月26日午前、ユーザー事例講演の目玉ともいえるeBayが登場した。

 eBayは9000万人以上のアクティブユーザーを誇る地球規模のインターネットオークションサイト。2009年は600億ドルの販売を記録、扱うデータ量も膨大なものになっている。1日に処理するデータ量は80ペタバイトを超え、1日にデータウェアハウスにロードされるデータ量も50テラバイトに上るという。毎日、5000人を超える社員やアナリストが6ペタバイトの巨大なTeradataエンタープライズデータウェアハウスにアクセスし、何百万ものクエリでインテリジェンスを得ている。2008年のPARTNERSでは、ペタバイトを超える大規模なデータウェアハウスを構築するユーザー企業に「Petabyte Power Players」アワードが贈られたが、eBayも、Wal-mart、Bank of America、Dellらと共に「ペタバイト倶楽部の初代メンバー」に名を連ねた。

 「eBayではデータ分析が、トップから現場に至るまで、企業のDNAとなっている」と話すのは、同社でアナリティックプラットフォームを担当するシニアディレクター、オリバー・ラッツェスバーガー氏だ。

 「創業以来、1日当たりの販売金額、販売件数、つまり販売の密度をいかに高めていくかを追求してきており、そのために商品の探しやすさをデータ分析によって築き上げてきた」(ラッツェスバーガー氏)

シンプル&イージーを追求

カテゴリーごとに最適なインタフェースを模索する。男性スーツでは上着のスタイルで直感的に絞り込める(クリックで拡大)

 同社はこの9月、「eBayファッション」を一新したばかりだ。上着のスタイルやサイズ、ズボンのウエストサイズや股下サイズをクリックしていくと、数十万着のスーツも数十着へと絞り込める。利用者は、自分や家族の各種サイズや好きなブランドなどを「Fashion Shopping Profile」として登録、必要に応じてプロファイルを切り替えながらスピーディーに商品を選択することもできる。

 「'90年代にサービスを開始したときは、どの商品カテゴリーも同じインタフェースだったが、ファッションと家電製品は特性が全く異なる。そこでわれわれはカテゴリーごとに最適なインタフェース、つまり“バーチカルな体験”を提供できるよう努めてきた」(ラッツェスバーガー氏)

 商品を必要としている人に対していかに簡単にスピーディーに商品を見せていけばいいのか、eBayでは絶えずこうしたインタフェースの改良を続けており、それを支える分析基盤を担当するラッツェスバーガー氏の課題も多い。

 「分析負荷の85%は新しいものか未知のものだ。既に知られている数値指標はあまり価値がない。このためデータを調べ、仮説を立て、テストを繰り返すことが分析志向の組織の根幹となる」(ラッツェスバーガー氏)

 同社の分析基盤は、6ペタバイトものTeradataエンタープライズデータウェアハウスを核に据え、5000人以上が情報を共有しているが、より価値の高い未知のインテリジェンスを探し出すため、異なるシステムも活用している。プロジェクトコードネーム「Singularity」と米ClouderaのHadoopディストリビューションだ。

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