逃げ切れない世代の英語サバイバル術ITmedia エンタープライズ書評

「ITmedia エンタープライズ書評」第7回。今回は社内公用語の英語化に関連する2冊をご紹介します。

» 2011年02月16日 18時00分 公開
[平岡健ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

英語が公用語になる時代

 本書は、著者が長野オリンピックでシステム開発プロジェクトのリーダーをしていた際の体験談から始まる。プロジェクトチームは外国人20人で構成されていた。長野の体験を通じて著者は、「ガイジン」と仕事をするには表面的な会話だけではなく、相手の文化にまで入り込まなければいけないことを学ぶ。そして、この体験こそが、いずれ日本のビジネスマンが直面するであろう「試練」の先行体験だったと書く。

 先日、楽天の社員と話す機会があった。その人は社内の英語公用語化に対し、特に混乱することもなく、むしろどうやって勉強しようか模索中だという話をしていた。当時の私はその話を聞きながら、「ま、自分には関係ないな」と思っていた。本書は当時の私のように「社内公用語が英語」ということにピンとこない人から、実際に英語が社内の公用語になり、まずは何に取り組めばいいのか悩んでいる人までカバーする“懐の深い本”だと思う。

 ピンと来ない人はまずこの本の第1章を読むべきだ。日本のビジネスマンはけっして英語から逃れることはできないという現実に気づくだろう。日本の国内市場は縮小の一途を辿っている。「ガイジンと英語で仕事」をしなければ、ビジネスが成立しない時代が迫っているのである。

重要なのは専門用語の単語力

 ビジネスシーンで英語を使うときに重要なことは、流暢(りゅうちょう)に英語を話すことではない。(片言でもいいので)「専門用語の英単語」を駆使しながら、ビジネスを前に進めることである。転職支援の仕事をしていた頃、外資系企業の採用担当者からも同じ話を聞いた。

 本書の第2章には、専門用語の単語力を習得する方法が書かれている。RSSリーダーを活用したり、輸入品のタグを読む習慣をつけるなど、すぐに実施でき、かつ日常業務や普段の生活と関連させることで継続しやすい方法が紹介される。大切なのは毎日英語に接することなのである。

 第3章はビジネスシーンでの応用編。私のように英語がまったくダメな人には実践するのが難しいのだが、“ある程度できる人”にとってはかなり役に立つと思う。英語での交渉やプレゼンについてのTipsは、そんな“ある程度できる人”にとってさらに上を目指すための虎の巻になるだろう。

クイズ感覚で楽しめる英語学習

 『知らないと恥をかく! ネイティブ英語の常識175』は文法をベースにした英語術の書籍だが、決して文法の教科書のような内容ではない。正解は複数あるということを前提に、英語を使う際、頭に入れておけば役に立つ知識が、クイズ形式で書かれている。合計175問、クイズ感覚で楽しめる割にしっかりとした解説やポイントがあるのがうれしい。

 今回読んだ2つの書籍は私のように英語に自信のない方にお勧めしたい。御社の社内公用語が英語になる日は意外と近いかもしれない。

「ITmedia エンタープライズ書評」最新記事一覧はこちら

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

あなたにおすすめの記事PR