第6回 復旧・復興への光を求めて東北地方太平洋沖地震からの復興 ── リスク管理、危機管理、そして復旧(3/4 ページ)

» 2011年03月22日 08時00分 公開
[戸村智憲,ITmedia]

 そして、トラックのドライバーをはじめ、船舶、航空、その他各種輸送にあたる人手が必要だ。輸送後の保管・配送仕分けの人手も個々の被災者に届ける人手も要る。

 また、被災者の避難所生活も限界に達している。多くの仮設住宅を建設しなければならない。プライバシーや安らぎを得られる場所・建物の確保が急がれる。取り急ぎの仮設インフラ(仮設住宅でのガス・水道・電気など)も重要だ。同時に、これまであったインフラの再整備・再構築も進めなければならない。

 さらに生活資金や事業資金、学費やインフラ復旧費用などが被災地に重くのしかかる。自助努力だけでは限界がある。被災した自治体や企業・被災者に政府の財政支援が必要となってくる。子ども手当や高速道路無料化の財源を復旧・復興財源にあてるべきだろう。被災地では、「家が津波で流された」「農地が海水でやられた」「漁船が破壊された」など、生きる術が奪われたのだ。政争をしている場合ではない。国民・政党ともに一致協力することが求められている。

 そして、情報とその共有が重要だ。まず、仮設住宅においては隣同士の声掛けやあいさつが基本となる。生存を互いに確認し合えるからだ。仮設住宅内の自治もスムーズに進められる。

 ボランティアに関する情報もしっかりと共有できるようにしたい。いつどんなことをしてくれるのか。どう依頼すればいいのか。支援金はどうすれば受給できるのか。こういった情報を広く共有され、一日も早い健全な復旧・復興が望まれる。

震災の悲劇を風化させてはならない

 メディアはこの震災を風化させない使命を負っている。被災の情報発信を継続しなければならない。テレビも次第に娯楽番組が復活している。これも悪いことではない。苦しい緊張が続く中、ほっと心が休まる番組はオアシスのような役割を果たすだろう。

 既にチャリティーイベントを申し出てくれた企業がある。企業も社会的責任を果たすべく、できることから支援を行おう。食糧や物資、機材を提供できるのであればそうしてほしい。人手や情報を提供できるのならそれも貴重だ。

 過去の例からも震災後の1〜2カ月は、防災意識や支援意識が高い。しかし、そこから時を経るにしたがい、企業も市民も災害への関心を失い始める。このようなときには、著名人・芸能人の支援活動が役立つだろう。

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