ソーシャルメディアに消極的な企業、日本とドイツで多数――ClearSwift調べ

ソーシャルメディアの効果を期待しつつも、セキュリティへの懸念から積極的な利用を踏みとどまっている実態が明らかになった。

» 2011年09月06日 18時48分 公開
[ITmedia]

 セキュリティ企業の英ClearSwiftは9月6日、企業でのソーシャルメディアやコンシューマー技術の利用意識を調べた報告書「WorkLifeWeb 2011」を公開した。ソーシャルメディア利用を取り締まり強化する企業が増えていることが分かったとしている。

 調査は同社がLoudhouseに委託して6月にオンラインで実施したもの。英国と米国、オーストラリア、ドイツ、オランダ、日本の企業に所属する1529人の社員と906人の管理職から回答を得た。

 それによると、社員のソーシャルメディアへのアクセスをブロックしている企業は、2010年の9%から2011年は19%に上昇した。ドイツ(23%)やオーストラリア(21%)でブロックしている割合が高い一方で、米国では社員の積極的なソーシャルメディア利用を推奨する傾向がみられたという。

 87%の企業はセキュリティやデータの漏えいを懸念して、こうした技術の採用を妨げていると回答。特に日本ではこの割合が92%に上った。ソーシャルメディアがコミュニケーションに欠かせないと考える傾向は管理職で強く、米国や英国では前年よりもソーシャルメディアへの投資を増やすとの回答が目立った。逆にこの傾向が低いのはドイツと日本だった。

 また、管理職と社員との間で意識の差異があることも浮き彫りになった。職場でのソーシャルメディア利用について、管理職の48%が「認められている」、または「奨励されている」と回答したものの、同様に回答した社員は25%だった。職場での私物機器の使用についても、60%の企業が許可または奨励していると主張するのに対し、同様に社員は40%だった。社員の23%はソーシャルメディアや私物機器を使用することで、労働時間が長くなるだろうと回答した。

 セキュリティ面では管理職の50%が、「社員が明らかにセキュリティ上の懸念」だと考える傾向が強まった。これはセキュリティに無関心な社員への懸念といい、英国と米国、ドイツ、オーストラリアでこのように考える割合は、2010年の51%から2011年は57%に上昇した。

 社員では21%が「Webや電子メールを使用する際にセキュリティのことを全く考えない」と答え、31%は「セキュリティは雇用主の責任」と答えていた。この傾向はオーストラリアで高く、38%は「会社の責任である」とした。日本では21%だった。

 企業がより厳しいソーシャルメディアのガイドラインを導入すれば、社員の26%が「やる気を失う」、14%が「ポリシーに対処しようとする」、3%が「退職を考える」と回答し、会社に対する不信感が強まる可能性が想定されるという。

 同社の最高執行責任者アンドリュー・ワイアット氏は、「企業は世間の注目を集めた情報漏えい事故に反応して、職場での使用状況にますます神経質になっている。新しいコミュニケーションチャネルを受け入れるより、取り締まりを強め、過剰に防御を固めているが、これでは潜在的な成長への道をふさいでしまう」とコメントしている。

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