Kindle FireのWebブラウザにプライバシー上の懸念

米Amazonの「Kindle Fire」に搭載されたWebブラウザ「Silk」では、同社のクラウドサービス経由でWebを閲覧する。この仕組みについてプライバシー問題を指摘する声が出ている。

» 2011年09月30日 07時37分 公開
[鈴木聖子,ITmedia]

 米Amazonの新しいタブレット端末「Kindle Fire」に搭載されたWebブラウザ「Silk」をめぐり、プライバシー上の問題を指摘する声が上がっている。

 セキュリティ企業の英Sophosはブログで、「Silkはモバイルブラウジングの高速化とバッテリー持続時間の延長を図ったAmazon独自のWebブラウザ」と解説。同社のクラウドサービス「Elastic Compute Cloud」(EC2)を経由させてWebページのオブジェクトを事前に処理することにより、Kindle Fireにかかる負荷を軽減する仕組みになっている。

 つまり、Kindle FireからWebサイトを閲覧すると、目的のWebページではなくAmazonに接続することになる。この接続はユーザーがWebを閲覧している間は常時保たれ、「ユーザーのWeb上の行動が“何もかも”記録されてしまう」とSophosの研究者は危惧する。

 Silkの使用許諾契約には、「Silkの技術的問題のトラブルシューティングと診断のため、SilkはWebアドレス(URL)、IPアドレス、MACアドレスなどのID情報を一時的に記録する」という一文がある。また、SSLで通信が暗号化されたHTTPS接続に関しても「(Amazonは)クラウドからサイトオーナーへのセキュアな接続を確立する」とFAQに明記されている。

 これについてAmazonからは、「利用データは匿名で収集され、個人を特定できる情報は保存されない」との説明があったという。

 Silkには、EC2を経由せずに直接Webサイトに接続できる「オフクラウド」モードも用意されている。Sophos研究者は「自分のプライバシーをWeb閲覧の数ミリ秒の高速化と交換する価値があるのかどうか、よく考えた方がいい」と助言している。

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