ERPに訪れるコンシューマー化の波 インフォアがソーシャルレディな新版を発表

日本インフォアが「Infor10」を発表。ERPでありながら、ソーシャルやモバイルという要素を取り入れ、UIを刷新した。

» 2011年10月25日 18時05分 公開
[石森将文,ITmedia]

 日本インフォア・グローバル・ソリューションズ(日本インフォア)は10月25日、新しいERPスイート「Infor10」を発表した。

 今回のアップデートではユーザーインタフェースの刷新が特徴となっており、米InforのCEO、チャールズ・フィリップ氏は「現在の職場では、誰もがTwitter、Facebook、Googleなどと同じユーザーエクスペリエンスを期待している。Infor10およびInfor10 ION Suiteはそれを職場で実現するものだ」とコメントしている。

 来日したInforのエグゼクティブバイスプレジデント、ディーン・ヘイガー氏も「ERPには悲しい現状がある。コンシューマー分野では多くの技術革新があったのに、それがエンタープライズ分野に反映されていない。多くのユーザーが、いまだオフィスのPCに張り付いて、非効率なインタフェースを利用している」と指摘する。「Infor10はこの現状を変えるものだ。データを探すためのERPから、データを活用するためのERPとなる」(ヘイガー氏)。

 新しいUIの「Infor10 ION Workspace」では、各ユーザー向けの関連情報が1つの画面に集約し表示される。ソーシャルサービスのウォールやフィードに該当する概念を取り入れており、イベントやユーザー自身の検索行動に連動して表示するデータをレコメンドするという。

Infor10の新しいUI

 Inforの各アプリケーションおよび外部アプリケーションについては「Infor10 ION Suite」で統合を図る。データは共通形式で同一のリポジトリに格納され、ERPのデータストリームに対しPCだけでなくタブレットやスマートフォンからもアクセスできるようになる。「IONはいわゆるESBとして機能する。アプリケーションはバスを経由して相互に接続される。既存のESBとの違いは、15分未満で展開可能なほど軽量であり、また設定知識がなくともアプリケーションを統合できるということだ」(ヘイガー氏)

 またInfor10は、その「CloudSuite Platform」によって基幹システムをクラウドにも、オンプレミスにも配置できるという。ミッションクリティカルな部分は社内に置き、周辺のアプリケーションやサービスはクラウドで運用する、といったいわゆるハイブリッドクラウド構成もとれる。どちらの場合も利用可能な機能やUIは同一で、異なるのはユーザーによるアプリケーションへのアクセス方法だけとなる。アプリケーションモデルは展開モデルに関わらず同一のため、ある展開モデルから別の展開モデルへの変更もスムーズに行えるという。

 「Infor10では、ユーザーのビヘイビアに適したデータをインテリジェントに判断しソーシャルの仕組みで提供する。意思決定の際、必要な情報を探すという無駄な時間を省ける。ユーザーはよりビジネス価値を生み出す業務に集中できる」(ヘイガー氏)

 なおヘイガー氏は、Inforeが7月に買収を完了した米Lawson Software出身でもある。同社の既存顧客は「Inforにジョインすることでより大きな開発投資が行われるという期待している」といい、この秋には「Infor10レディな新版をリリースする予定」とした。

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