データベースソフトの新製品投入や社内プロジェクトの立ち上げ、人材育成の強化などに取り組むことで、今後3年間に1500億円規模の売り上げを目指す。
NECは2月13日、ビッグデータ(多種・大量のデータ)関連事業を強化すると発表した。データベースソフトの新製品「InfoFrame Relational Store」の投入や社内横断型プロジェクトの立ち上げ、ビッグデータ専門人材の育成強化などに取り組む。
InfoFrame Relational Storeは、既存のリレーショナルデータベースと、分散型データ管理のキーバリューストアの双方の特徴を組み合わせることで、将来のデータの増大に対応できるようにしたスケールアウト型のデータベース製品。SQLを利用できることに加え、同社の北米研究所が開発した「MicroSharding」というメモリ上でトランザクションの変更データを管理する独自技術を用いて、トランザクションの高速処理を可能にした。また複数台のデータベースサーバによる構成で、障害検知からスタンバイサーバへの切り替えを1秒以内にできるとしている。
製品を担当する第三ITソフトウェア事業部長の伊藤晃徳氏によれば、小規模なシステム構成にも対応し、データの増加に応じてデータベースサーバを追加できる拡張性に強みがあるという。流用可能なアプリケーションも多く、先行導入しているNECビッグローブの画像管理サービスでは既存アプリケーションの99%を流用している。
同社では通信事業者や金融、流通、交通などの業界向けに新製品を訴求し、4月上旬から出荷を開始する。製品価格は510万円(税別)からで、今後3年間に150システムの販売を計画する。
社内横断型プロジェクトは、業界別ニーズに対応できることを目的に、営業や企画、開発、研究部門などの50人体制で発足した。多数の計測機器ネットワークからデータを収集・加工するクラウドサービス「CONNEXIVE」した活用したソリューションやビッグデータ関連製品・サービスの開発に当たる。人材面では「ドメインエキスパート」という顧客の業務ニーズをくみ取りながらビッグデータの活用方法などの提案・支援に当たる専門要員や、ビッグデータの分析業務を支援する「分析エキスパート」を育成する。現状ではビッグデータを扱うシステム基盤の専門家など100人体制だが、新たな専門要員の育成で3年後に200人体制に拡充する。
会見した執行役員常務の山元正人氏は、「ある調査によれば、企業では大量に存在するデータの99.4%を有効活用してないという。ビッグデータは企業が競争力を強化するためのポイントだ」と述べ、特にデータ分析などの領域で同社のソリューションを展開していくとした。
ビッグデータ関連の事業規模は年間400億円程度だが、山元氏は今回の施策で今後3年間に1500億円程度の売り上げを見込んでいると説明。「現状では国内市場がターゲットだが、海外市場に早期展開できればさらに上積みできるだろう」と述べた。
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