金融業界の3つの課題に対する4つのソリューション、日本IBMが“変革”を提案

金融機関のビジネスモデルを「グローバル化への対応」「グループ連携の強化」「コストの最適化」の3つの領域で支援する。

» 2012年02月27日 16時04分 公開
[國谷武史,ITmedia]
金巻龍一 常務執行役員

 「これまでできなかった課題に真正面から取り組む」――日本IBMが2月27日に行った金融業界における同社の事業説明会の場で、常務執行役員 トランスフォーメーション・ストラテジー&ソリューション担当の金巻龍一氏が、4つのソリューションを新たに展開することを発表した。金融機関に対し、「グローバル化への対応」「グループ連携の強化」「コストの最適化」の3つの領域でのビジネスモデルの変革を提案していく。

 同社は、2012年初頭にコンサルティングとソフトウェアを活用して顧客起点の価値を創造するというビジョン「ビッグアジェンダ」を表明。上述の3つの領域は、金融業界に向けた同社の「ビッグアジェンダ」という。金巻氏は、「経営とITというテーマについて金融業界は特に活発な取り組みがなされている。次期システムといったものではなく、次世代のビジネスのあり方を提案したい」と述べた。

 金融インダストリー・ソリューション事業担当 執行役員の鶴田規久氏によれば、3つの領域をビッグアジェンダとする背景には、少子化に伴う国内市場の縮小や金融機関の取引先企業の海外進出、金融機関グループとしての顧客対応の強化、戦略的投資を可能にするためのコスト最適化の必要性などがある。同社がビッグアジェンダのソリューションとして提供していくのが、「チャネル・システム・トランスフォーメーション」「コア・システム・トランスフォーメーション」「ミドル・オフィス・トランスフォーメーション」「フィナンシャル・マーケット・トランスフォーメーション」の4つだ。

金融業界向けに提供する4つのソリューション

 チャネル・システム・トランスフォーメーションの一例では電話主体からWebやモバイルも活用した販売経路の実現、コア・システム・トランスフォーメーションでは分散化している決済システムの統合、統合リスク管理ではリスク要因別の対応手法の一元化、フィナンシャル・マーケット・トランスフォーメーションではSNSの情報を分析することによる金融商品の動向予測といったものがある。

 これらソリューションの適用事例として、ある欧州の銀行では新興市場での動向を成熟市場でのビジネスに生かすためのネットワークインフラを構築、米国の銀行ではクロスセルを中核戦略に位置付けて顧客の嗜好に基づいたアプローチを行うための情報分析基盤を実現しているという。営業店のレイアウトを時間帯に応じて変更することで来店顧客への対応を強化しているケースもある。

 金巻氏は、「当社のソフトウェアには世界のビジネスのノウハウが凝縮されている。金融機関が取り組むべきとされながら、長らくできなかったことを実現できる永続的な仕組みを提供していきたい」と表明した。

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