エリソンCEOが語ったスティーブ・ジョブズとの思い出Oracle OpenWorld Tokyo 2012 Report

Oracle OpenWorld Tokyo2日目の基調講演、米Oracleのラリー・エリソンCEOは意外な場所から登場した。そして、故・スティーブ・ジョブズ氏との思い出に触れながら同社の戦略を語った。

» 2012年04月05日 12時43分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 3年ぶりに日本で開催されている「Oracle OpenWorld Tokyo」、2日目の基調講演にはラリー・エリソンCEOが“意外な”場所から登場した。事前に配布されたプログラムには「サテライト中継有り」を記されていたが、彼が姿を現した場所は桜が開花し始めた京都であった。エリソン氏は、京都がお気に入りの場所だといい、邸宅も構えているほど。そして、同じように京都を愛したという故・スティーブ・ジョブズ氏、Appleの話題から切り出した。

三位一体であること

ラリー・エリソンCEO

 「ハードウェアだけでもソフトウェアだけでもいけない。それを体現しているのがAppleだ」――エリソン氏は、ハードウェアとソフトウェア、そしてサービスをシームレスにつなげたユーザー体験を提供することが、Appleが成功している秘訣だと説いた。「まさにEngineering Work Togatherであり、Oracleの戦略である」と語る。

 基調講演の大半は、同社の「エンジニアド・システムズ」製品であるExadataやExalogic、SPARC SuperCluster T4-4、OpenWorld直前に日本で発表された最新鋭マシンのExalyticsがどのようなコンセプトおよびアーキテクチャ、技術によって誕生したのか、そして、それらがユーザーにどのような効果をもたらしたのかに費やされた。

 例えば、Exadataには「世界最高性能」「世界最高のコストパフォーマンス」という2つのゴールが設定され、並列アーキテクチャに基づいてコストパフォーマンスに優れた大量のプロセッサやメモリ、ディスク、インフィニバンドネットワークを用い、それらの性能を最大限に引き出すミドルウェアおよびソフトウェアを一体化させたシステムであるとした。

 「最高性能でIBM Power 795を超えることを目指したが、2ラックという構成ならExadataが性能とコストパフォーマンスの両面で実現した。並列アーキテクチャによる強みは単一障害点がないことによる信頼性だ。われわれのシステムがこれらを全て実現している」

Exadata開発の系譜

 エリソン氏はジョブズ氏と25年以上にわたる交友があったという。

 「彼と一緒に散歩している時、彼が放つアイデアは非常にシンプルだった。かつてPCの世界を広げるべくMicrosoftやIntel、HPなどが立ち上がったが、彼らの足並みは複雑でバラバラだった。それなら一つにしてやってしまおうというのがジョブズのアイデアだ」

 ジョブズ氏がAppleのCEOに戻った当時、同社の時価総額は50億ドルほどだったが、現在ではその100倍、世界で最も価値の高い会社となった。全てのパーツを1つにフィットさせることが重要とエリソン氏。そして、「他社がやっているのはポルシェのレインシールドをレクサス LFに載せ替えること」と、競合他社を同氏ならではユーモアで例え、「このOracleのアプローチこそが正しい姿であり、来たるべきモバイルインターネット全盛時代に向けた策を打っていく」と締めくくった。


 エリソン氏が登場した場所ではOracle Executive Meetingが行われており、基調講演後には現地の参加者から質問にも答えた。

Q Oracleをキャッチアップできるライバルはいる?

エリソン IBMができるかもしれないが、2年では不可能だ。われわれはこの分野に7年もの歳月を投資している。彼らがもしやろうとするなら同じ時間がかかるはず。IBMを目指すより、IBMに追いかけられる方がいいだろう。

Q ユーザー企業だが、ベンダーロックインで手痛い目にあった経験がある。Oracleに同じ懸念を抱いている。

エリソン それは絶対にしないというのが答えだ。もしExadataよりもコストパフォーマンスに優れた手段があるなら、そちらを選択していただきたい。われわれがExadataで目指しているのは世界最高のコストパフォーマンスであり、検討の結果としてExadataを選んでもられるなら、それに越したことはない。

Q Javaなどオープンソースに対する見解を聞きたい。

エリソン IBMやSAPなどライバルとは、この分野に限って言えば一緒にやっていくパートナーだし、われわれの継続的なコミットに対して彼らも賛同している。唯一違うのはGoogleだろうか。私が見るにGoogleは意思決定権を持ちたいようだが、どちらが正しいかは法廷の場で分かるだろう。

Exadataのユーザー事例
SPARC SuperClusterやExalyticのユーザー事例

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ