本当にクラウドは企業BCPの救世主となるのか?

新たなテクノロジーを売り上げに結び付けられるか?――マーケティング部門へのアンケート調査「マーケティング」に関する読者アンケート調査リポート

アイティメディアは2012年2月8日から3月25日の期間で読者を対象に「マーケティング部門が抱える課題とツールの利用環境に関するアンケート調査」を実施した。本調査からは、マーケティング部門が抱えている現状の課題や、マーケティング活動のために導入を予定しているツールなどが明らかとなった。

» 2012年04月23日 17時20分 公開
[山田竜司,ITmedia]

マーケティング部門を取り巻く環境の変化 

 米Facebookは3月に開催したマーケティング関連イベント「fMC」で「日本国内のFacebook人口1000万人超え」を発表した。また、4月にはマーケティング会社のディーツー コミュニケーションズが、20代の女性スマートフォン所有率が50%を超えたという調査を公表した。いま、実名制であるFacebookや位置情報を取得可能なスマートフォンの普及を筆頭に、マーケティング戦略を計画する上でアクセスできる情報が格段に増えつつある。それに伴い、マーケティング部門をとりまく環境にも変化があるのではないか。このような仮説の下、アイティメディアは2012年2月8日から3月25日の期間でアイティメディア媒体読者を対象に「マーケティング部門が抱える課題とツールの利用環境に関するアンケート調査」を実施した。その結果を簡単にまとめた。

調査概要

目的 マーケティング部門が抱える課題とツールの利用環境に関する状況を調査する

方法 Webによるアンケート

調査対象 アイティメディア媒体読者

調査期間 2012年2月8日(水)〜3月25日(日)

総回答数 427件

※回答の比率(%)は小数点第1位を四捨五入し表示しているため、比率の合計が100.0%にならない場合があります。


売り上げにどう貢献できるのか、問われ続けるマーケティング部門

photo マーケティング活動に関する課題についてお聞きします。以下であてはまるものを選択してください。

 マーケティング部門が抱える課題とは何か。上位を占めるのは「マーケティングROIの可視化」「営業に見込み顧客のデータを渡しているがフォローしてくれない」「売り上げにつながらない」「マーケティング活動の成果が経営者に示せない」「リードの質がコントロールできない」「リード単価」など、売り上げに関するものが大半であった。先の見えない日本のマーケットでマーケティング部門に求められているのは「目の前の売り上げ」であると言えそうだ。また、上位に名を連ねた項目には因果関係が存在しているように見える。つまり、「見込み顧客のリードの質がコントロールできない」ために、「営業部が顧客データをフォローせず」、「マーケティングROIを経営者に示すことができない」、といった悪循環に陥っているのではないだろうか。

マーケティング部のKPIは「ROIが明確な指標」が中心

photo マーケティング施策の指標として重視されるものをお答えください(複数選択)。

 マーケティング部門はどのような指標で目的を設定しているのだろうか。こちらも売り上げ、リード数(アポや売り上げに貢献したもの)、獲得リード総数という比較的ROIが明確な指標が目立つ結果となった。さらにPV、リーチ数、CTR、CVRなど、自社サイト集客や問い合わせを増やすための値を重視している企業も多い。一方、指標としては近年提唱されている「アトリビューション」(コンバージョンにいたったアクションそれぞれの貢献度)も一定の票を集めたことから、多くのKPIがマーケティング部門に課せられている現状がみて取れる。

Webの情報をマーケティングに生かすためのツールが人気

photo マーケティングツールの利用状況についてお聞きします。今後導入予定のツールをお選び下さい。

 今後導入したいツールとして、アクセス解析やメール配信ソリューション以外には、ソーシャルCRMツールや口コミツール、BAツールなどが票を集め、「ソーシャルメディア」「ビックデータ」といったトレンドを反映する結果となった。自社のWebサイト以外で取得可能となった膨大なデータを、いかに生かすかが今後のポイントであると考えているマーケティング担当者が多いといえるのではないだろうか。

既存のプロモーション手段を重視しつつ、オウンドメディアへの投資も

photo マーケティング施策についてお勤め先で今後、あるいは今後とも 重点的に 実施予定のものを、それぞれいくつでもお選び下さい。

 今後重視したい施策として、「オンライン広告」「マス広告」「他社主催の展示会」など、マス媒体、タイアップやイベントを使ったプロモーションの根強いニーズがうかがえた。一方、タイアップや展示会への投資とほぼ同様の割合で、「自社Webサイトでの見込み顧客の獲得」「ソーシャルメディア」「自社主催セミナー」など、オウンドメディアやDIYでマーケティング活動を重視する意向の企業が多いことも明らかになった。

まとめ

 本調査では自社サイト以外で取得可能な膨大なデータを使ったマーケティング戦略が検討され始めたことが分かった。また、既存媒体を使ったプロモーションと同程度、オウンドメディアへの投資がなされようとしている現状が明らかになった。同時にこうした変化を経営陣に説明する難しさが課題だと考えているマーケティング部門が多いことも判明した。新たなテクノロジーの力でマーケティング活動は大きく変化し始めている。2012年は、マーケティング担当者がその変化を現場レベルで実感する年であると言ってもいいだろう。

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