Webサイト訪問者の信頼を勝ち得るにはどうすべきか――「Web&モバイル マーケティングEXPO」から情報の収集・発信で活用が期待される最新ソリューションをピックアップする。
5月9〜11日に開催された展示会「2012 Japan IT Week」の1つとして行われた「Web&モバイル マーケティングEXPO」。自社のブランドや商品の信頼や認知度を高めるのに、Webサイトでの口コミや評価を活用する先端ソリューションが出展された。
メールシステム大手エイケア・システムズの子会社でWebマーケティング支援のマーケティング・リソース・センターは、米PowerReviewsのソリューションを出展。PowerReviewsはWebサイトの口コミ上の収集・分析、また、ECサイトへの口コミ機能の実装をクラウドサービスとして提供する。海外では5500サイト以上に導入され、国内では「スカルプD」を販売するアンファーやパナソニックのWeb直販サイトなどに採用されている。
口コミ機能を持つECサイトは多いものの、サイト訪問者が求める情報が少なかったり、良い評価情報ばかりを提供したりするケースが目立つ。ソーシャル・コマース・グループの古瀬智志ディレクターによれば、訪問者が満足できる情報を十分に提供できていないという課題があり、同社は“ネガティブ”な口コミ情報も提供できる機能を持つPowerReviewsを企業へ提案するようになったという。
「商品を詳しく知りたいのに、店舗の対応を褒めるレビューばかりでは参考にならず、訪問者の疑問に答えるQ&Aコーナーを設けてもなかなか信頼を得にくい。他の訪問者のネガティブなレビューもきちんと発信することが安心感につながります」(古瀬氏)
PowerReviewsではポジティブレビューとネガティブレビューをカテゴリ別に一括表示する機能もあり、訪問者が双方のレビューをすぐに参照できる点も特徴。レビューの投稿フォームにもカテゴリを設定でき、訪問者が書き込みしやすい環境を用意できるという。
同社は会場ブースで「評価」をテーマに、ミス・ユニバース・ジャパンのファイナリストの清水絵夢さん、滝沢杏弥さん、橋本智美さんを招いてのトークセッションも実施。世界の舞台で“美”を競い合うことについて、ファイナリストのライバルやダンスなどのトレーニングの講師から受ける指摘や評価は、自身の成長にとって、さらには競争を勝ち抜いていく上で重要であり、不可欠なものと語った。
ネットショッピングで感じることについて、「洋服のサイズを知りたいものの、お店の対応や商品発送ばかりの意見では残念ですね」(清水さん)、「気になったインポート商品が日本人にも合うかが分かればうれしいですね」(橋本さん)、「安く購入したい商品が安く見えてしまうのは嫌なので、レビューを必ず確認しています」(滝沢さん)という。
ネガティブレビューは自社や商品の改善効果にもつながるという。「商品開発者やマーケティング担当者が思いつかないアイデアを得られ、顧客層や販路を拡大に成功している企業も少なくありません」(古瀬氏)
ソーシャルメディアやブログ、掲示板などの投稿から評判情報を収集・分析するソリューションの中でNTTアイティが出展した「評Ban」サービスは、キーワードテキスト以外にアスキーアートのような文字絵も収集・解析できるユニークさが注目された。
評Banサービスは1月から販売しているもので、NTTのネットワークサービスシステム研究所が開発した解析技術を採用する。収集対象に文字絵を加えることで、従来以上に広い範囲から評判情報の収集・分析が可能になった。1時間単位での変化や「ポジティブ」「ネガティブ」「中立」の分析結果をグラフで把握できる。
同サービスを試験導入した企業は、放射能汚染問題が自社製品に与える影響への対策を評判情報の収集・分析を通じて実施した。「○○社の製品は汚染されているのか?」「放射性物質の検査をしているのか不安だ」といったインターネット上での評判や話題を迅速に把握。顧客に対して検査の実施状況や汚染物質の検出状況といった情報を積極的に発信したことで、販売減少などの影響を回避できたという。
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