セキュリティ業界からみた「位置情報」のメリットとデメリット

スマホやタブレットデバイスの位置情報を使ったサービスが広がる中、そのメリットとデメリットも広く知られるようになってきた。セキュリティ企業のSophosは位置情報の使い道に関する議論を展開している。

» 2012年08月16日 19時21分 公開
[ITmedia]

 ユーザーのモバイルデバイスに搭載されたGPSや近隣の無線基地局から取得した「位置情報」は、セキュリティの観点ではどう考えるべきか――英セキュリティ企業のSophosが同社ブログを通じて位置情報の活用の在り方をめぐる議論を投げかけている。

「WeKnowYourHouse.com」サイト

 つい最近、Twitterでのツイートや位置情報からユーザーの自宅の場所を類推して地図やGoogleのストリートビューを表示するWebサイト「WeKnowYourHouse.com」(編注:8月16日時点ではサービスを停止している)が話題になった。同サイトは開設目的を「ソーシャルメディア上のプライバシーについて実験するため」と説明し、「位置情報サービスは便利だが、自分の居場所が知られることを考慮した方がいい」と、位置情報からプライバシーが公にさらされかねないリスクを指摘する。

 これに対してSophosのブログ担当者は、ユーザーが位置情報のリスクを十分に認識しているとは言えない状況で、容易に自宅の所在を検索できてしまうサービスを公開した同サイトの手法を批判した。

 一方、先日にはAppleの前CEO、故スティーブ・ジョブズ氏の自宅に侵入した窃盗犯が逮捕されたと報じられた。逮捕のきっかけは、犯人がジョブズ氏の自宅から盗み出したiPadでAppleのサービスに接続した際にサーバに取得された位置情報で、警察当局は位置情報から犯人の所在を突き止めたとされる。Sophosの担当者はこの事件から、「位置情報やその追跡については良い面もある」と評価した。

 スマートフォンやタブレット端末の急速な普及を受けて、こうした端末から取得した位置情報を活用するサービスが数多く登場。ユーザーがいる場所に関連した“役立つ”情報を提供するものから、セキュリティ企業が提供する紛失や盗難に遭ったデバイスの追跡調査までと幅広い。

 しかし位置情報をオンライン上で提供することのリスクが、ユーザーの間で“常識”にはなっていない現状があり、サービス提供者やセキュリティ業界には位置情報がもたらすメリットとデメリットをユーザーにより広く認知される取り組みが求められているようだ。

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