仮想化のI/Oのボトルネックを解消する――メラノックスがVMware対応ドライバをリリース

仮想環境の性能確保でボトルネックとなるI/Oをどう改善するか。米Mellanoxは、I/Oを仮想化するVMware対応のドライバを新たに提供する。

» 2012年09月13日 19時18分 公開
[岡田靖,ITmedia]

 メラノックステクノロジーズジャパンは9月13日、VMware ESXi 5.1に対応したI/O仮想化ドライバを11月に国内でリリースすると発表した。クラウドなどの仮想環境のパフォーマンスを確保する上で課題となるI/Oのボトルネックを解決ソリューションに位置付けている。

 Mellanox Technologiesは、米国カリフォルニアとイスラエルに本社を置く企業。サーバやストレージ間の接続における56GbpsのInfinibandや40GbE対応のホストバスアダプタ、スイッチ、仮想化I/Oの管理および高速化のソフトウェア製品などを提供する。当初はHPC分野でノード間通信の高速化技術の開発を手掛けてきたが、近年は仮想化やクラウドの普及に伴って企業IT分野にも進出している。

 今回の発表は、Infinibandやギガビットクラスのイーサネットで接続される物理サーバ間通信のI/Oを高速化するドライバが、VMware ESXi 5.1に対応するというもの。このドライバは「SR-IOV(Single Root I/O Virtualization)」を実現するもので、ホストバスアダプタによるメモリへのダイレクトアクセスといったオフロード機能が引き出すCPUのオーバーヘッドを軽減させる。広い実効帯域を確保し、低遅延化が図れるという。同社製品のSR-IOVは、既にWindows Server 2012に対応し、Microsoft Hyper-VやSQL Serverでの処理を高速化できるようになっているが、今回の施策によってVMware環境でも同様の恩恵が受けられるようになる。

Infinibandや40GbEの活用で、既存のファイバチャンネルやiSCSIより格段に少ないケーブル配線を実現するという
I/Oの仮想化によって、1台の物理サーバ上でより多く仮想マシンを稼働させることができるようになるため、データセンター全体の拡張性が高まるとしている
米Mellanox Technologies ワールドワイドセールス担当バイスプレジデント マーク・ザルツバーグ氏

 米Mellanox Technologies ワールドワイドセールス担当バイスプレジデントのマーク・ザルツバーグ氏は、「クラウドアプリケーションがデータセンター内部のトラフィックにパラダイムシフトが起こした」と説明。「クラウドコンピューティングは、既存環境に比べてシステムの規模が大きく、サーバ間通信がトラフィックの大半を占める。ラック間の遅延はこれまで気にされてこなかったが、クラウドでは5マイクロ秒以下が条件。オーバーサブスクリプション(全ポートの帯域幅の総量がスイッチングファブリックを上回る状態)を最小限にすべきで、I/Oに求める要件が様変わりする中で、新しいインターコネクト技術が必要になった」と述べた。

 これに対して同社は2001年以降、4世代にわたる製品の中で約3年ごとに帯域幅を2倍に、遅延を半分にすることを実現してきたという。「いわばI/Oにおける『ムーアの法則』だ。今後もCPUやメモリなどのロードマップに合わせて、この取り組みを発展させていく」(ザルツバーグ氏)としている。

Mellanox Technologiesの技術ロードマップ。2014年にはポートあたりの帯域を100Gbpsに、遅延を0.5マイクロ秒にする計画だ

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