日本IBM、グローバルでのNPO支援プログラムを国内でも 第1弾はフローレンス

企業向けコンサルティングサービスなどをNPOに対して無償提供する社会貢献プログラム「IBM Services Grants」を日本IBMがスタートさせた。

» 2012年11月22日 08時05分 公開
[ITmedia]

 日本IBMは、NPO(非営利団体)に対して戦略立案やリーダー育成などを支援する社会貢献プログラム「IBM Services Grants」を提供開始した。第1弾として、病児保育・病後児保育のNPO法人であるフローレンスでリーダーシップ研修を実施した。

フローレンスで行われた研修の様子 フローレンスで行われた研修の様子

 IBM Services Grantsは、2009年に米国でスタートし、既に世界27カ国、250以上のNPOを支援している。内容は、同社が事業として企業向けに提供しているビジネスコンサルティングサービスや人材育成サービスと同等レベルのものを無償でNPOに提供するというもの。これまでも同社はNPOに対してさまざまな支援を行ってきたが、基本的には社員個々人のボランティア活動という位置付けだった。

 IBM Services Grantsの先行事例として、このたびフローレンスにサービスを提供。11月9日に事業マネジャー6人、サブマネジャーおよびエリアマネジャー10人を対象に、日本IBMの人材コンサルタントがリーダーシップ研修を6時間かけて実施。組織について考えるワークショップや社員アンケートを基にしたディスカッション、リーダーとしてのスキルやコーチング技術を上げるための演習などを行った。この研修によって「組織風土についてメンバー全員が能動的に考え、お互いの価値観などを共有したほか、コーチングの実践的なスキルを身に付けることができた」と、日本IBM 社会貢献 プログラムマネジャーの塚本亜紀氏はフローレンスでの成果を話す。

日本IBM 社会貢献担当の塚本亜紀氏(左)と川嶋輝彦氏 日本IBM 社会貢献担当の塚本亜紀氏(左)と川嶋輝彦氏

 現在、日本のNPOが抱える課題の1つに、収入の継続的な確保がある。資金調達の方法として、日本では約8割が企業寄付や行政の補助金によるものだ。しかしながら、企業の経済状況に左右されたり、期間限定の補助だったりと、継続的かつ安定的な収入が確保しづらい状況にあるという。「このような環境下でNPOが人材育成やIT導入に新たに投資するのは難しい」と、日本IBM 社会貢献担当の川嶋輝彦氏は説明する。そうしたNPOに対して日本IBMが経済的な支援(有償サービスを無償で提供)を行うということが、IBM Services Grantsがもたらす意義だとしている。

 今後の展開について、同プログラムによる年間10件程度の支援を想定しているという。支援対象となるNPOの選定は、NPOの情報サイト運営やサポート活動を行うチャリティ・プラットフォームと連携して行っていく。

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