日本オラクルの経営トップに就任してから組織変革に取り組んできた遠藤社長。2012年にはその成果が数字として表れたと語る。
昨年末に発表された2013年5月期 第2四半期決算において、売上高は743億1900万円(前年同期比11.6%増)、営業利益は209億200万円(同15%増)と、第2四半期累計期間としてはともに過去最高となった日本オラクル。その好調ぶりの原動力となる同社の強みとは何か。同社の遠藤隆雄社長に聞いた。
――2012年は遠藤社長にとってどのような1年でしたか。
私が日本オラクルに入社して4年半が経ちました。昨年は、社長として「会社をこういう風にしたい」と思ってきたことがようやく実を結んだ1年でした。
この変革というのは一朝一夕にいくものではなく、そう簡単な道のりではありませんでした。組織のトランスフォーメーションやパートナーとの関係構築などをグローバル標準に合わせて実行し、新しい日本オラクルというモデルを作っていきました。2012年は大きな変化をした年でしたが、結果的に数字としても良い形で表れました。
具体的に、数年かけて取り組んできたのは、営業力の強化です。すなわち、日本オラクルが持っている製品やサービスの価値を顧客に正しく提案できる力です。そのためには、顧客の課題をセンスして(感じて)、きちんとした提案として応じていかなければなりません。センスする力というのは、顧客の立場になって、顧客がやりたいことを理解するスキルが必要なので、こうした力を身に付けるのには時間がかかるのです。
さらに難しいのは、日本オラクルは直接販売(直販)をしていないという点です。顧客との距離がある中で、日本オラクルの価値を訴求しなければなりません。パートナー企業は当然のように、過去に経験のある慣れた製品を提案することが多いので、新商品の販売は特に苦労します。パートナーはサービスデリバリとしては重要ですが、セリング段階では時として競合になるのです。その際に、顧客の期待やニーズを我々が把握して提案することが重要になってくるわけです。単に製品のスピードや価値だけではなく、それを顧客がどのように使うのか、どれだけの差別化になっているのかということも説明しなければなりません。顧客の期待に直に応える提案力が求められるのです。
データベースマシン「Oracle Exadata」やCEP(複合イベント処理)ソリューションなどの売れ行きが好調なのは、こうした営業力が強化されたことの賜物だと感じています。
――アプリケーション分野も成長しています。
既存のオンプレミス製品もそうですが、SaaSのビジネスが伸びています。特にWebやコンタクトセンター分野のクラウドソリューションである「RightNow」がけん引しており、名だたる日本企業に導入されるなど、着実にユーザー数を増やしています。
SaaSビジネスの特徴は、情報システム部門ではなく、事業部門に提案するという点です。だからこそ、顧客の期待を把握して提案する力がないとビジネスになりません。企業のIT予算が増えない中でこうした取り組みは重要なのです。
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