中国国内で独自のクラウドサービスを開始 IIJグループ

アジア展開を加速するIIJは、中国企業や現地に進出する日系企業に向けたクラウドサービスを提供開始した。

» 2013年01月21日 12時40分 公開
[伏見学,ITmedia]

 インターネットイニシアティブ(IIJ)グループは1月21日、新たなクラウドサービス「IIJ GIO CHINA サービス」を中国国内向けに提供開始した。中国で発生しているインターネット問題を解決する機能を盛り込み、利便性の高さなどを市場にアピールする。

 同サービスは、仮想化サーバタイプと専有サーバタイプを選択できるクラウドサービス。仮想化サーバタイプは、CPU性能、メモリ容量、ディスク容量、OSを選択可能で、月額350元(約5000円)から利用できる。サービスは中国・上海に設置するデータセンターから、現地法人であるIIJ Global Solutions Chinaを通じて提供する。

IIJ社長の鈴木幸一氏 IIJ社長の鈴木幸一氏

 同サービスの特徴は、中国国内でのインターネット接続に関する遅延問題、通称「南北問題」を解消する機能を実装した点にある。南北問題とは、中国の2大通信事業者であるチャイナテレコムとチャイナユニコムをまたぐインターネット通信において、遅延や切断が頻繁に発生するというもの。IIJが提供するサービスでは、双方の事業者のIPアドレスを事前に用意し、通信状況に応じて適切なIPアドレスを自動的に判別、返す仕組みを独自に用意した。これによって、快適なインターネット通信が可能になったという。こうした安定的なインターネット接続サービスなどを評価し、アーティストのファンサイトを運営する中国企業、Lojiaoが最初のユーザーとなった。

 現在、IIJグループは、世界6カ国10拠点で事業を展開し、約200人の国際事業担当スタッフを抱える。中でも特に力を入れるのがアジア市場である。2012年1月に上海、4月にはシンガポールと香港、8月にはバンコクに拠点を設立した。

 同日に開かれた海外事業に関する戦略説明会において、IIJ社長の鈴木幸一氏は、「アジア各国はまだ光ファイバ導入などの通信インフラ整備にとどまっている。国によって事情は違うが、日本で展開するようなクラウドサービスを提供し、新しい形の通信事業をアジアで作っていきたい」と意気込む。アジアを足掛かりとし、その先には、グローバル共通のクラウド基盤を構築し、サービス提供していきたいという考えを示した。

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