「エンタープライズクラウドを推進する」――日本IBMが戦略説明

基幹業務に適した水準のサービス提供や業務改革のための計画立案からインフラ実装までを支援するサービスを展開していく。

» 2013年01月24日 15時40分 公開
[國谷武史,ITmedia]
理事 スマーター・クラウド事業部長の熊本義信氏

 日本IBMは1月24日、クラウド事業戦略に関する記者説明会を開催した。クラウドサービスの提供領域の拡大や、業務プロセス変革とクラウド活用の支援サービスなどを展開するという。

 冒頭で理事 スマーター・クラウド事業部長の熊本義信氏は、企業顧客のクラウドの利用形態について触れ、既存の業務システム環境を最適化する手段、また、新たなビジネスを効率的に立ち上げるためインフラに大別されると説明。例えば、前者はグローバルでデータセンターを統合するというもの、後者はビジネス規模に応じてクラウドのITリソースを柔軟に利用するという場合である。

 こうした利用の現状ではいずれのケースもアプリケーションの展開モデルという視点が肝心であり、オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドおよび、これらを組み合わせるハイブリットクラウドをシームレスに利用できることが求められるという。同社では2012年に「PureSystems」やIaaSの「SmarterCloud Enterprise」「SmarterCloud Enterprise +(プラス)」といった基盤環境を提供した。

 熊本氏は、2013年の事業戦略でこれらの基盤製品・サービスの提供だけでなく、アプリケーションに近いレイヤでのサービス提供や、企業顧客がクラウドをより活用できるよう業務プロセス改革を支援する取り組みを重点項目に挙げる。記者説明会ではその一部として新サービスの「SmarterCloud for SAP Applications」と、SmarterCloud EnterpriseおよびSmarterCloud Enterprise +の機能強化も発表した。

 SmarterCloud for SAP Applicationsは、SAPのアプリケーションをSmarterCloud Enterprise +上で利用するための支援サービスで、IaaSでの各種リソースに加えて、「SAP BASIS」と呼ばれるアプリケーション群共通の実行基盤の運用管理を同社が行うというもの。ERPなどSAP BASISの上位で利用するアプリケーションはユーザーが管理する。海外のIBMのデータセンターを利用でき、月額課金も設定するという。同社の試算では新サービスの利用でトータルコストが約半分に、導入から運用までのリードタイムが数週間から数日に短縮されるとしている。

クラウドの新サービス

 機能を強化したSmarterCloud Enterprise(R2.2)では、32Gバイトメモリや仮想マシンの監視APIなどが利用可能になり、Windows Sever 2012に関連した機能拡張も図られた。SmarterCloud Enterprise +ではデータベースシステムが利用できるようになった。同社のDB2以外にOracle DBやSQLの運用管理とバックアップが行える。また、仮想マシンのOSレイヤについては日本語によるサポートも新たに提供する。

 業務プロセスの改革支援としては、業務改革計画の策定から計画に基づいたインフラへの実装までを一貫して同社が対応する。こうした新戦略を円滑に実行すべく、社内の各事業グループの人材が参加する組織横断的な「バーチャルチーム」で顧客対応していくという。

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