UTMベンダーに勢いあり――WatchGuard幹部に聞くMaker's Voice

統合脅威管理(UTM)ソリューションは、中小企業がメインユーザーだが、より規模の大きな企業にも広がりつつあるという。WatchGuard VPのロバートソン氏と日本法人社長の根岸正人氏に、2013年の戦略を聞いた。

» 2013年02月21日 10時30分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 「ミッドサイズエンタープライズ市場でUTM(統合脅威管理)が拡大している。従業員数500〜5000人のこの市場に注力する」――米WatchGuard Technologies アジア・太平洋地区セールス担当バイスプレジデントのスコット・ロバートソン氏は、国内パートナー向けのカンファレンスでこう語った。そのための製品およびサービス、プログラムを展開していくという。

 ファイアウォールやゲートウェイアンチウイルス、IPSといったネットワークセキュリティ対策を一元的に提供するUTMソリューションは、これまで従業員数が数人から数百人規模の中小企業がメインユーザーだった。こうした企業ではIT管理者が1人ないし兼務で担当する場合が多く、複数のセキュリティ対策機能を運用することが負担になっていた。

 「セキュリティ対策が年々複雑化するのに合わせて、運用も難しくなってきた。UTMは1台のアプライアンス、1つのコンソールで複数の対策を運用管理できるので、このメリットが中小企業に浸透していった。このため、当社は年率15%の成長を達成している」とロバートソン氏。米国の市場調査によれば、同社は従業員数500人未満の企業向けUTM市場でトップシェアを握る。

 これを追い風に2013年は、冒頭に挙げた規模の企業顧客の獲得を目標に掲げる。

 「3年前から準備を進めてきた。ハードウェア面はIntelのマルチコアプロセッサの採用で処理性能の向上を図り、ソフトウェア面はLinuxベースのOSに対策機能を容易に実装できるモジューラ型のアーキテクチャを採用している。10Gのインタフェースやアプリケーションコントロールによる『次世代ファイアウォール』など、規模の大きなユーザーが求める機能も開発してきた」(ロバートソン氏)

 国内向けには製品やサービスの強化、パートナープログラムの拡充を図る。

 製品面では企業でのモバイル端末の利用拡大を受けて、アプライアンスの「XTMシリーズ」に無線LANコントロール機能を追加実装するほか、VMwareおよびMicrosoft Hyper-Vに対応したXTMやメールセキュリティアプライアンス「XCS」の仮想アプライアンス版を投入する。UTM導入時の設定をリモートから行える「RapidDeploy」サービスや、二次販売店向けの「WatchGuard Secure Partner」プログラムを開始する。

 日本法人社長の根岸正人氏は、「2012年の日本法人の成長率は20%。2013年は多数の事業拠点を抱える企業がUTMを効率的に導入できるよう支援するとともに、マネージドセキュリティサービスプロバイダーや地域密着型の販売店をパートナーに迎えることで、25%の成長を目指す」と話している。

ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンの根岸正人氏(左)と米WatchGuard Technologiesのスコット・ロバートソン氏

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