人材のギャップをいかに埋めるか 米SuccessfactorsNestleやBoschも導入

タレントマネジメントの最新動向やSAPとの経営統合によるメリットなどを、米Successfactorsのプレジデントに聞いた。

» 2013年03月22日 09時00分 公開
[伏見学,ITmedia]

人材の採用から退職までを一気通貫でサポート

 買収総額約34億ドルによって2012年2月に独SAPの傘下に加わった、人事管理(HCM)ソリューションをクラウドサービスで提供する米SuccessFactorsは、現在、184カ国でビジネスを展開。4000社の顧客を抱え、1800万の有料契約ユーザーを誇る。「全世界でSuccessFactorsの製品を使って新しい仕事を始める人が毎日1万3000人おり、5000万件を超える面接が当社サービスを通じて行われてきた」と同社 プレジデントのショーン・プライス氏は胸を張る。例えば、NestleやBoschといったグローバル企業での全社的な導入も進んでいるのだという。

米SuccessFactors プレジデントのショーン・プライス氏 米SuccessFactors プレジデントのショーン・プライス氏

 今、なぜこれほどまでにタレントマネジメント製品が注目を集めているのか。その理由として、ショーン氏は企業現場における人材のギャップを挙げる。

「日々多くの社員が退職しており、それを埋め合わせるために新たな人材が企業に入ってくるものの、経験値が大きく異なるため十分に前任者の仕事を補うことができていない状況が散見される。これは大企業のみならず、中堅・中小企業においても同様だ」(ショーン氏)

 そのような人材不足という環境の下、企業は優秀な人材を採用、維持し、報酬を提供していくかということを、エンドツーエンドで見ていかねばならないのだという。

 そうした状況に対し、SuccessFactorsは人材の採用から退職までの一連のプロセスを網羅したアプリケーションを提供する。特にクラウドという利点を生かして、短時間で迅速にシステムを導入、稼働できるほか、モバイルやソーシャルメディアに対応することで、多様なワークスタイルが実現可能である。ユーザーの要望を取り入れた製品開発にも積極的で、90日単位でサービスを刷新しているのだという。

 ただし、タレントマネジメントというのは、単にアプリケーションさえ導入すればいいというものではない。業務プロセスとの連携が重要であるほか、最終的なユーザーはLOB(Line Of Business)であるため、UIはシンプルで、誰もが容易に利用できることが不可欠だ。「例えば、上司と部下との面談の場面で、部下にコンプライアンスにかかわる懸念があるのであれば、果たして適切なトレーニングを受けているのかどうかを瞬時に把握する必要がある。タレントマネジメントシステムは、ユーザーが求める方法で、適切なタイミングで情報を提示しなければならないのだ」とショーン氏は話す。

包括的なタレントマネジメント

 SAPとの経営統合によるシナジー効果はどうか。SAP自身も既にオンプレミスのHRソリューションを約3万5000社に導入している。両社のシステムを組み合わせることで、クラウドとオンプレミスのハイブリッド型システムを構築することが可能になった。加えて、インメモリコンピューティング「SAP HANA」やSAPのテクノロジーパートナーの製品など、数百のシステムと相互接続することで、包括的なタレントマネジメントソリューションを提供できるようになったという。

 この点が競合他社との差別化になっているという。

「タレントマネジメントに関して、他社は部品的なソリューションしか持っていない。そうした場合、リクルーティングとラーニング管理システム(LMS)が連携していなかったり、ビジネスルールと連動しなかったりという問題がある。また複数に分かれた機能をどう統合していくかという問題もある。SuccessFactorsであれば、スモールスタートで始めて、顧客の要求の段階に応じて短時間で機能拡張していくことが可能なのだ」(ショーン氏)

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