アクセンチュアが、アナリティクスのプロ集団を大幅に拡充し、「アクセンチュア アナリティクス」を立ち上げた。程社長は、「日本企業の意思決定に革命を起こしたい」と話した。
アクセンチュアは6月18日、アナリティクス関連ビジネスを部門横断的に統括する組織を大幅に拡充し、データサイエンティスト約100名を含む数百名の陣容で企業の意思決定最適化を実現する「アクセンチュア アナリティクス」部隊を立ち上げたことを明らかにした。程近智社長は、都内のホテルで行われた記者発表会で、「社長だけでなく、事業部長や部長はもちろん、現場のスタッフに至るまで、企業内のすべての階層で最適な意思決定を行えるよう支援し、日本企業の意思決定に革命を起こしたい」と話した。
「ソーシャル」「モバイル」「ビッグデータ」など、デジタル社会を加速する幾つかのトレンドが大きなうねりとなり、さらにそれらを組み合わせ、リアルタイムで分析するテクノロジーも十分に成熟してきているが、依然として多くの日本企業は、これらをどう経営に生かすかで悩み、迷走している。これまでも「情報活用」が企業にとって永遠の課題だったのと同様、問題はテクノロジーだけでは解決しないからだ。
「統計は意思決定の科学だが、それだけでは、収益を高めていくという企業の命題に答えることはできない。アクセンチュア アナリティクスでは、分析だけでなく、戦略の立案から、最適な分析基盤を構築、さらには運用まで請け負い、顧客が分析を武器とした企業として力を発揮できるようエンドツーエンドのソリューションを提供する」と話すのは、この新しい専門家集団を統括する工藤卓哉シニアプリンシパル。工藤氏は、ニューヨーク市の保健衛生局や教育委員会において統計ディレクターを務めた経験を持つ(ニューヨーク市に学ぶ大規模データ活用の真髄)。
また、既にアナリティクスの活用に踏み出した企業といえども、その大半はクロス集計であったり、傾向を見るための記述統計にとどまっているのが実情。業界ではデータサイエンティストが一躍脚光を浴びているが、社内にそうした人材は見当たらないし、採用も難しい。工藤氏が率いるアクセンチュア アナリティクスでは、金融や通信、製造・流通といった業界の専門性と、顧客分析や不正検知といった機能の専門性で顧客企業の人材不足を補い、仮説の検定や探索的データ解析、さらにはモデリング最適化や機械学習といった、より高度なアナリティクスに企業が取り組めるよう支援していくという。
具体的に同社が提供する主なサービスメニューとしては、「金融サービス」「通信・メディア・ハイテク」「製造・流通」「素材・エネルギー」「公共サービス・医療健康」の業界ごとに以下のサービスカテゴリーを用意する。
「アクセンチュア アナリティクスの強みは圧倒的な多様性だ」と工藤氏は話す。業界の知識を生かして経営課題を見極め、最適な分析基盤を構築し、PDCAのサイクルを企業に根付かせていくには、専門性と高度な技術力を持つ、さまざまなプロフェッショナルがチームとして力を合わせなければならない。国内は数百名という陣容だが、さらにグローバルでは1万3000人を超えるアナリティクスのプロが23拠点のイノベーションセンターで働いているという。しかも、マーケティング領域はアテネ、ビッグデータ解析技術ならマドリッドやバルセロナといったように分業体制も確立されており、より効率的にサービス構築が進められている。ちなみに東京では、特にニーズの高い、以下の6つの領域を軸にサービスを構築しており、実際に日本の顧客にサービスとして提供している。
「Accentureレコメンドエンジンは、協調フィルタリングにGPSによる位置情報を組み合わせてパーソナライズする極めてユニークなものだ」と工藤氏は話す。
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