「エンドポイントセキュリティに新風を届けたい」 SMB市場に注力するウェブルートMaker's Voice

2年前にクラウド型セキュリティサービスへ移行したウェブルートは、中小企業向けエンドポイントセキュリティ市場での本格展開を表明する。

» 2013年09月05日 08時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]
ウェブルートの伊藤誉三代表取締役社長

 「PCの使い方がセキュリティソフトに左右されるのでは意味が無い。そのためにアーキテクチャを刷新した」――ウェブルート 代表取締役社長の伊藤誉三氏は、中小企業向けに同社製品を本格展開すると表明。2年前に実施した製品アーキテクチャの刷新が強みなると説明している。

 Webセキュリティやマルウェア対策製品を主力とする同社は、米国のコンシューマー市場で高いシェアを持つ。企業向けには、協業するCisco SystemsやJuniper Networks、F5 Networks、Palo Alto Networks、NECといったベンダーを通じてセキュリティ機能を提供している。2012年からは自社ブランドの展開にも注力し始めた。

 PCなどのエンドポイント向けセキュリティソフトは、定義ファイルを用いたパターンマッチングを中心に、近年はヒューリスティック検知やサンドボックス解析、クラウド連携といった機能強化が図られてきた。伊藤氏は、「ローカル上に大容量のファイルを置くアーキテクチャは変わっておらず、機能は進化しても、PCの動作が重くなるといった根本的な課題は解決されていない」と話す。

 そのために、同社では2011年に、脅威を検知するためのさまざまな処理のほぼ全てをクラウドに移行させ、ローカル上のインストールファイルのサイズを700キロバイト程度と大幅に削減した。ローカル上では軽量なエージェントツールが動作し、クラウド上の分析基盤「Webroot Intelligence Network」と協調して、エンドポイントのマシンを保護する。企業環境では管理サーバや定義ファイルの配信サーバなどを構築する必要がないという。

 米国時間で7月30日に終了した同社の2013会計年度の実績は、中小企業の新規顧客が前年度比200%、保護するエンドポイント数が315%それぞれ増加した。同社の基盤を利用してセキュリティサービスを提供するマネージドサービスプロバイダも150社以上になったとしている。

 国内ではNECとの協業を通じて既に大企業顧客を獲得しており、中小企業向けにはトライポッドワークスなどと提携して販路拡大を進めている。国内の中小企業向けセキュリティ市場では近年、エンドポイントセキュリティ製品でシェアの高い大手ベンダー各社が、SaaS型サービスの展開に注力する。ウェブルートは後発になるが、伊藤氏は「米国市場ではアーキテクチャの刷新から2013会計年度の実績を達成するまでに2年近くを要したものの、日本でも同様に伸ばしたい」と語っている。

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