大林組は、NECとGRAPHISOFTの2社と共同で次世代BIMクラウドサービス「スマートBIMクラウド」を完成させた。
大林組とNEC、ハンガリーのGRAPHISOFTは9月26日、建設業界におけるビルディングインフォメーションモデル(BIM)の普及に必要不可欠な建物情報の統合化と情報共有を図るクラウドコンピューティング環境「スマートBIMクラウド」を完成させたと発表した。10月に本格稼働する。
スマートBIMクラウドの完成により、BIM導入の加速化にとって必要不可欠なITインフラ環境が整うことになり、膨大な建物情報へ効率的にアクセスすることが可能となったという。今後は発注者、設計会社、施工会社、専門工事会社など、建築プロジェクトに関わるチームが建物情報を共有し、「プロジェクトの最適化」という共通目標に向けた合意形成を早期に図れるようになるとしている。
スマートBIMクラウドで提供されるのは、「オンデマンドな情報取得による早期合意形成」「大量データの効率的活用による建物品質の向上」の2点。
「オンデマンドな情報取得による早期合意形成」では設計や施工、竣工時などプロジェクトのあらゆるプロセスにおいて、建物の情報をインターネットから取得して手軽なタブレット端末などで確認できる。プロジェクトの進行中に、常に最新の建物モデルを共有することで顧客が容易に理解を深められ、その意向を早期に反映するといった関係者間の円滑な合意形成をサポートするという。
「大量データの効率的活用による建物品質の向上」は、社内外の関係者が建物に関係する大量のデータベースを効率的に利用し、迅速で正確な情報連携の環境を提供する。データベースには建物モデルだけでなく、設計プロセス、調達や各種シミュレーション情報など、建物に関わるさまざまな情報が盛り込まれ、生産プロセスにおいて活用することで、円滑な工程の進捗とさらなる品質の向上につなげられるという。
大林組は7月末現在で、設計施工プロジェクトの約半数にBIMを適用。今後さらに展開を加速していく予定だ。そのためにBIM推進室を改編し、10月1日付で「PDセンター」を設立する。PDセンターは増加するBIM適用プロジェクトへ機動的に対応するだけでなく、BIMを使った次世代生産システムの実現を目指すとしている。
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