XPから移行しない理由と8を避けるワケ、中堅・中小企業の現状

ノークリサーチは年商500億円未満の中堅・中小企業に、Windows XPのサポート終了に伴う対策状況について調査した結果を発表した。

» 2013年10月15日 15時02分 公開
[ITmedia]

 IT調査会社のノークリサーチは10月15日、中堅・中小企業でのWindows XPのサポート終了に伴う対策状況について調査した結果を発表した。年商50億円未満の企業では「計画が未定」とする割合が2〜3割弱に上る状況が明るみなった。

 それによると、まず移行計画の有無については年商規模の大きな企業ほど「既に対策を実施中または実施済みである」との回答割合が高い。50億円未満の企業では4割未満にとどまり、特に5億円未満の企業では「サポートが終了することを知らない」という回答が1割近くに達した。「計画は立てているが、実施に至っていない」とする企業も300億円以上〜500億円未満で40.6%あるなど、対策が進められていない状況も浮き彫りなった。

 上記の質問で「計画そのものが、まだ立てられていない」と回答した企業に対してその理由を聞いたところでは、37.8%が「サポート終了によってどのような弊害があるのかわからない」、21.6%が「PCハードウェアやOSの刷新に必要な費用が捻出できない」との回答(複数回答)が上位を占めた。

(出典:ノークリサーチ)

 これについて同社は、Windows XPを使い続けることによる経営的なインパクトが明確ではないために、その対応コストのねん出も難しい状況になると分析する。また、「業務システムも刷新が必要で、その計画が立っていない」も19.6%あった。その対応では(1)仮想的にWindows XPの環境を作る、(2)アプリケーションを仮想化する、(3)「互換モード」を用いる――といった方法を解説。ユーザー企業では費用や期間が合えば、販売会社やシステムインテグレーターなどが提供する支援サービスの活用が無難だとしている。

 こうした現状から2014年4月のXPのサポート終了後も継続利用する企業が少なくないとみられる。16.9%は「インターネットに繋がなければ使い続けても問題ない」としたが、特にセキュリティへの懸念ではマルウェア感染がインターネット経由ばかりではなく、USBメモリやLAN経由でも起こり得ることから、対策手段も含めたさらなる啓蒙が必要だという。

 XPからの移行を実施または計画している企業に移行先OSを尋ねた結果では65.2%がWindows 7を挙げ、最新版OSのWindows 8は31.5%だった。その理由では「利用中のアプリケーションがWindows 8で動くか不明である(42.3%)」や「利用中のアプリケーションがまだWindows 8に対応していない(34.7%)」が目立った。

 この点で同社は、「Windows 7に比べ、Windows 8の互換性が著しく低いという定量的な根拠があるわけない」と指摘。Microsoftが提供する「互換性検証センター」など、移行に関する情報やツールの提供が少ないわけではなく、むしろ「Modern UI」の影響(20.7%)が大きいとみており、「従来と全く操作方法が異なり、アプリケーション側がタッチパネルに対応していないと使えないといった誤解が生じている」と分析している。

(出典:ノークリサーチ)

 日本時間で10月17日から提供されるWindows 8.1では起動時に「Modern UI」のスタート画面をスキップしてデスクトップ画面に遷移する設定が可能であるなど、XPに慣れたユーザー企業の違和感を軽減する対応も盛り込まれていると指摘。Windows 8.1販売開始後にパッケージ版のWindows 7の販売が終了することもあり、ノークリサーチでは「Windows 8.1の発売でOSの比率にどの程度の変化が生じるのか注視しておく必要がある」という。

 調査は年商500億円未満の国内企業の経営層やIT担当者を対象にアンケートを行い、758件の有効回答を得た結果をまとめた。

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