「箱を売るのはクラウドではない」と主張してきたsalesforce.comが、HPの垂直統合型ITインフラを活用した新サービス「Salesforce Superpod」を発表。その狙いとは――。
米salesforce.comがサンフランシスコで開催した「Dreamforce 2013」の基調講演に、米Hewlett-Packard(HP)のメグ・ホイットマンCEOが登場。salesforce.comのマーク・ベニオフCEOとともに、両社が共同開発したという新サービス「Salesforce Superpod」を発表した。
Superpodは、salesforce.comのデータセンター内に特定顧客向けの専用ハードウェアを設置し、そこからSalesforceの各種サービスを提供するものだ。ユーザー企業にとっては、Salesforceを他のユーザーとハードウェアレベルで切り離して利用できる利点がある。
サービス基盤には、HPの垂直統合型ITインフラ製品「Converged Infrastructure」を採用。同製品は、HPのサーバやストレージ、ネットワーク、管理ソフトウェアなどを組み合わせて提供するもの。これにSalesforceのソフトウェアを組み合わせることで「最高水準の性能と信頼性を実現する」(ホイットマンCEO)という。
だが、これまで「箱を売るのはクラウドではない」などと垂直統合型システムに批判的だったsalesforce.comが、突如としてそれを活用したサービスの提供に舵を切ったのはなぜだろうか。ベニオフ氏は「既存の多くのSalesforceユーザーにとってはあまり関係ないかもしれないが、もし専用ハードウェアでSalesfoceを利用したいという企業があれば、Superpodは素晴らしい話になるだろう」と説明する。
「例えば、Gmailのようなクラウドサービスは、データがどこにあるか分からないし、どの国のどのサーバを使っているか分からない。そうした状況が嫌だという顧客にとって、Superpodは最適なソリューションだ。グローバル企業のCIOが『このハードはこのデータセンターのここにあって、このネットワークを使っている』と把握できる。さらにデータは全て暗号化されており、ユーザー自身が細かく制御できるのだ」(ベニオフ氏)
主なターゲットとして、病院や金融業、官公庁などの大規模法人を想定する。Superpodのソフトウェアはマルチテナント方式を採用しているため、Salesforceのアップデートは同時に全てのSuperpodにも適用されるとしている。
価格は非公表だが、既にSalesforceを利用している企業はオプション料金でSuperpodを利用できる。なお、HPが同サービスの最初のユーザーになるという。
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