2013年のセキュリティ事件簿・SNSやスマホの「秘密」をめぐるお作法萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(1/3 ページ)

2013年に発生した情報セキュリティに関する事を参考に、どうすればセキュリティを高めていけるかについて考えていく。今回はSNSやスマホをめぐる問題から考えるべき点について触れてみたい。

» 2013年12月13日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]

SNSの事件

 今年の中頃から一挙に話題になったのが、いわゆる「バカッター」と呼ばれる若者の行為である。問題となった例は軽く50を超え、そのおかげで倒産に追いやられた企業もあった。

 当初、この問題は筆者には関係がないと考えていた。ところが、企業で実施している情報セキュリティの啓蒙教育やコンプライアンス教育とは別に、内定予備軍や新入社員向けにスマホやSNSの使い方を個別に教育してほしいという依頼がだんだん舞い込むようになった。そのおかげで「就業規則や入社時の誓約書をどう改訂したらよいか」という相談依頼も多くなった。

 「バカッター」が登場した原因は様々な方々が分析をされている。筆者の観点からお伝えすると、その昔にメールがやっと普及し始めた頃に登場した「ネチケット」をご紹介したい。

 ネチケットとは、「ネットワーク上のエチケット」という意味であり、メールのやり取りは半永久的に残ってしまうものなので注意しなければいけないというものだ。会話でのやり取りですぐに忘れてしまうことでも、メールでは何年経っても消えない。

 筆者もこれでは以前に失敗している。冷静に対応したつもりが、つい喧嘩のような内容のメールを送付してしまった。その結果、相手との関係は今でも悪いままだ。実際にお会いしても、「あなたは昔、こういうことをメールした」とおっしゃる。もう20年くらい経つのに、いまだにこの有様である。何回謝っても無駄なのだ。この経験から相当に注意してメールを送付しているが、筆者も人間なので、つい勇み足程度には脱線してしまうことがある。それでも頭の片隅に「注意!」と浮かぶので不注意によるメールは激減している。

 「バカッター」もこれと同じと言えよう。人間はSNSを利用し始めてまだ10年も経っていない。社会全体の枠組みの中で思慮の浅い人や未熟な若者を中心に、この新しいツールの使い方についての心構えがないのである。社会としてはやっと「どこまでが許容範囲」なのかについてのコンセンサスができつつあるという状況だ。

 セキュリティの基本の一つに、「自分の身は自分で守る」ということがある。SNSなどの利用についても、この点で捉えると対応はやさしい。画像をアップする前に自問自答してほしい。「面白半分でアップしようとしているこの画像を見た人はどう思うか?」「見方や捉え方はみんな違うし、100人いたら100様ではないか?」と。それで、学生のサークル仲間という自分の感性が共有できる場所でなら、場合によっては「あり」かもしれない。しかし、ネットに公開された情報は、様々な考え方を持った人が閲覧する。公開することで「本当に後悔しないか」と良く考えてから行動してほしい。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ