福岡県内33市町村でのシステム共同利用に向けた取り組みがスタート。コスト削減効果などを見込む一方、大小さまざまな自治体が利用できるクラウド環境を用意する上ではさまざまな試行錯誤があったという。その経緯を聞いた。
昨今、複数の自治体でクラウド上のITシステムを共同利用する「自治体クラウド」の動きが広がりつつある。そんな中、特に大規模なクラウド導入にかじを切ったのが福岡県と県内33市町村で構成する「ふくおか電子自治体共同運営協議会」だ。同協議会は昨年9月、自治体クラウドとしては全国で最多(2014年3月現在)となる33市町村でのクラウド活用に向けた取り組みをスタートした。
だが、多くの自治体を巻き込んでのクラウド導入の道のりは決して平たんではなかったという。「ふくおか自治体クラウド」を推進している同協議会事務局の担当者に、取り組みの全容を聞いた。
言うまでもなく、自治体にとってITシステムは欠かせない。電子申請システムや電子入札システム、職員が利用する業務システムなど、さまざまなシステムが住民の生活や企業活動を陰で支えている。
一方、そうしたシステムを運営する上では課題も多い。自治体が利用するITシステムは法令に関係するものも多く、制度が変わるたびにシステムを改修する必要に直面する。だが小規模な自治体ではIT部門に当たる専門部署を持たないケースも多く、民間企業にシステム開発や運用保守をアウトソーシングするために多額の費用が発生してしまっているのが実情だ。
同協議会の構成自治体でもそうした課題に悩まされていたという。「小規模な自治体ではIT担当者が1〜2人しかいないケースも多く、ITベンダーが提示する金額が妥当かどうか判断することすら難しい。また、万一の災害時に備えたデータ保護についても不十分な点があった」と、同協議会の事務局を担当している福岡県 企画・地域振興部 情報政策課の古保里(こぼり)学 情報企画監は振り返る。
こうした課題に対処すべく、同協議会はシステム共有化に向けてクラウド導入の検討をスタート。しかしそこで待ちかまえていたのは、大小さまざまな市町村で構成される同県協議会ならではの課題だったという。
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