元Wall Street JournalのApple担当ジャーナリスト、岩谷ゆかり氏の新著「Haunted Empire」について、Appleのティム・クックCEOが「ナンセンス」でAppleは常にこうした懸念を抱かれるが、それはAppleをさらに強くするものだという声明文を発表した。
スティーブ・ジョブズ氏亡き後の米Appleについて書かれた書籍「Haunted Empire: Apple After Steve Jobs」が3月18日(現地時間)、英HarperCollinsから出版された。
本書は、元Wall Street JournalのApple担当記者、岩谷ゆかり氏がApple関係者200人以上へのインタビューを含む膨大な資料に基いて著したもの。例えば米調査会社Forrester Researchのジョージ・コロニーCEOの「新たにカリスマ性があるリーダーが現れないと、Appleは素晴らしい企業から良い企業に転落してしまうだろう」という言葉など、Appleの将来についての悲観的な見解も多数紹介されている。
本書の出版を受けて、Appleのティム・クックCEOが同日、本書についての公式声明文を発表した。米CNBCが掲載した声明文には、「(本書は)私がこれまで読んできたAppleについての他の本と同様にナンセンスだ。本書はAppleやスティーブ(ジョブズ氏)、Appleの他の社員についてつかんでいない」と書かれている。また、「われわれに疑いを持つ人々は常に多数いる。だが、彼らの疑いはわれわれをさらに強くするだけだ」とも。
この声明文に対し、岩谷氏は米Re/Codeにコメントを寄せ、「私でさえ自分の(悲観的な)結論に驚いているのだから、クック氏の声明文は理解できる。クック氏あるいはAppleの誰かと公式あるいは非公式に直接話せるとうれしい」と語った。
「Haunted Empire」のKindle版は本稿執筆現在8.25ドルで販売されている。なお、日本語翻訳版は6月前後に日経BPから出版される予定だ。
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