「Googleは要請があれば個人情報へのリンクを削除すべし」──欧州司法裁判所の裁定

スペインの個人がGoogleに対して検索結果から不適切な個人情報を掲載するWebページへのリンクを削除するよう求めていた裁判に関し、欧州連合の最高裁に当たる欧州司法裁判所がGoogleは該当するリンクを削除しなければならないという裁定を下した。

» 2014年05月14日 09時31分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 欧州連合の最高裁に当たる欧州司法裁判所は5月13日(現地時間)、Googleはユーザーから要請があった場合、検索結果から個人情報を含むWebサイトへのリンクを削除する責任を負うという裁定を下した。

 これは、スペイン在住のマリオ・コスティージャ・ゴンザレス氏が2010年、Google検索の結果に過去の新聞記事へのリンクが表示されることについて、新聞社とGoogle Spainに情報の削除を命令するようスペイン情報保護局(AEPD)に申し立てたことで始まった裁判に関するものだ。

 AEPDはGoogleに検索結果の削除を命令したが、Googleはこれを不服としてスペインの最高裁に当たるAudiencia Nacionalに上訴し、Audiencia Nacionalが欧州司法裁判所に判断を求めていた。

 欧州司法裁判所の裁定は、Googleは新聞社の2つのページへのリンクを削除しなければならないというものだ。同裁判所は、Googleのような検索エンジンオペレーターは第三者のWebページに表示される個人情報へのリンクの処理に関して責任があると判断した。検索エンジン企業は一般人から要請があった場合、「不適切、無関係あるいは既に無関係になっている」データを検索結果から削除しなければならないという。

 欧州連合の欧州委員会(EC)は2012年に、一般人がWebサービスに対してデータの削除を要求できるようにするための「忘れられる権利(right to be forgotten)」に関する法案(リンク先はPDF)を提出している。

 ECで司法・基本的権利・市民権担当の副委員長を務めるビビアン・レディング氏は自身のFacebookで、この裁定は「欧州における個人情報保護についての明確な勝利だ」と語った。

 Googleは各メディアに対し、「これは検索エンジンとオンラインパブリッシャー全体にとって残念な裁定だ。(中略)この裁定の影響を分析するための時間が必要だ」という声明を発表した。

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