例題4:公衆電話があります。あなたがこの電話で自宅に連絡するためのフローチャートを記入してください。
この回答では全員が初心者だと仮定して5分ほどフローチャートの書き方について学習をする。ただ、正確なフローチャートを書くことが目的ではないので、次の形状だけを説明する。
この質問では個人の洞察力、網羅性、完全性をどこまで反映できるかが分かる。受身の姿勢の人はせいぜい10個以下のボックスしか書けない。しかし、洞察力の高い人なら5分間で20、30個以上のボックスを書く。ここでは「なるほど!」という感性を理解してもらい、この感性を分析力の基本として学んでいく。
次はPCに密着した例題である。
例題5:ファイルは削除しても、PCを初期化しても、ゴミ箱を空にしても消えません。どうすれば消えるのでしょうか。
まず「なぜ消えないのか」を知らない人には丁寧に解説しておく。そして「どうやっても消えない」という事実を理解してもらい、廃棄PCの実態や個人でPCを売却する際の注意事項を例に解説を進める。
SSDであっても事情はHDDとほとんど同じだが、HDD以上に消えないことを解説する(専門家ではないなら、「SSDはさらに消えにくい」という点だけでもOK)。もし、受け手が中級者以上ならSSDの仕組みや完全削除できない理由を解説すると喜ばれるだろう。なお、現在では米国の企業が特許を取得してSSDでもほぼデータを完全消去できる仕組みがある。これも伝えられるが、内容的にはとてもつまらないかもしれない。
例題6:あなたは某大学の女子学生です。友人のA君が「PCが故障しているので、1週間ほど貸して!」とお願いしてきました。さて、あなたはどんな行動をしますか。その行動をした理由について述べてください(制限時間10分)。
ここで模範解答を示してもつまらないだろう。読者のあなたはどうするのか、ぜひ考えていただきたい。筆者の経験では100人いれば20種以上の回答があり、10種類は正解という感じだ。
次回はこの例題6について解説してみたい。
日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事、「先端技術・情報犯罪とセキュリティ研究会」主査。社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格。2008年6月まで三菱東京UFJ銀行に勤務、実験室「テクノ巣」の責任者を務める。
組織内部犯罪やネット犯罪、コンプライアンス、情報セキュリティ、クラウド、スマホ、BYODなどをテーマに講演、執筆、コンサルティングと幅広く活躍中。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。
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