「エンタープライズクラウド」は、どこへ向かうのか?クラウドエバンジェリスト4者対談(3/4 ページ)

» 2014年11月18日 08時00分 公開
[廣瀬治郎,ITmedia]

クラウドサービスの差別化ポイントはどこにある?

── IaaSがコモディティ化していく一方で、他社との差別化のためにはPaaS、SaaSへの注力が重要か。

林氏 PaaSのユーザーが増えてきているため、私たちも特に注力していきたい分野だ。

 当社のクラウドサービスで重視しているのは、オープン志向である。PaaS基盤としてはCloud Foundryを、IaaSにはCloudStackなどを活用しており、オープンソース系でエコシステムを展開していく。

北瀬氏 ベンダーとしては「選択の自由」を、ユーザーに提供することが重要だと思っている。

 2014年現在のオンプレミスシステムでは、多くのユーザーがカスタムアプリケーションを利用しているだろう。クラウドに移行する場合は、同じアーキテクチャにして手間を減らすのか、クラウドのメリットを生かしたまったく新しいものにするのか、それも選択していくことになる。

 一方で、パッケージソフトを有効活用しているユーザーは、SaaSも抵抗なく導入することができるだろう。また、迅速に開発できる環境を求めているのであれば、PaaSが役に立つ。

 IBMは、IaaSとしてはSoftLayer、PaaSとしてはBluemixをそれぞれ提供しており、SaaSについても100種類以上のサービスを提供している。ユーザーは、これらのサービスを「IBM Cloud Marketplace」から、手軽に入手して利用することができる。

── オープン系の基盤が中心になると、パブリッククラウド同士の連携も考えられるが。

林氏 他社サービスとの連携はしやすくなっているが、実際に連携するケースは少ないと考えている。それよりも、データセンターやプライベートクラウドと連携して、異なるクラウドをつないで“いいとこ取り”をするハイブリッドクラウドの方が現実的だ。

── 国内にデータセンターがあることは、クラウドサービスを選定する上で重要な要素となるか。セキュリティが懸念材料となるか。

photo 「データセンターは“何となく国内がよい”と考えるユーザーも多いが……」北瀬氏

北瀬氏 金融機関などのユーザーは、法規制などの制約から、国内のデータセンターでないと導入できない場合が多い。

 一方で、「何となく国内がよい」と考えているユーザーも多い。私たちの提案によって「海外でも大丈夫」と心を変えるケースは少なくない。

 逆に、外資系企業などでは、自然災害が多い日本にはデータを置けないと判断するところもある。そうした観点から、当社のサービスは広くグローバルに展開しているため、海外展開を図るユーザーからの引き合いも強い。

林氏 NTT Comも通信キャリアとして、公共系のほか、海外展開を図る日本企業からの期待が大きい。他社との差別化要因として注力すべき分野だと捉えている。

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