NECは新ブランドメッセージで勢いを取り戻せるかWeekly Memo(1/2 ページ)

NECが社会ソリューション事業の拡大に向け、さまざまな施策を打ち出している。筆者は「C&Cへの原点回帰」と感じている。長らく売上高の減少が続いた同社だが、果たして勢いを取り戻すことができるだろうか。

» 2014年11月25日 17時00分 公開
[松岡功,ITmedia]

NECが新ブランドメッセージに込めた決意

 「Orchestrating a brighter world. 皆さんとともに新しい価値のある社会を創ってまいりたい」

 NECの遠藤信博社長は、同社が2014年11月20〜21日に都内で開催したプライベートイベント「C&Cユーザーフォーラム&iEXPO 2014」で行った自らの講演をこう結んだ。「Orchestrating a brighter world」というのは、同社が今年(2014年)6月に打ち出した「社会ソリューション事業」の新たなブランドメッセージである。

photo C&Cユーザーフォーラムの基調講演に登壇したNECの遠藤信博社長

 「世界の想いを、未来へつなげる」というサブメッセージをともなったこの新ブランドメッセージは、「ネットワークとコンピューティング技術をあわせ持つ類のないインテグレータとして、NECがリーダーシップを発揮し、卓越した技術とさまざまな知見やアイデアを融合することで、世界の国や地域の人々と協奏しながら、明るく希望に満ちた暮らしと社会を実現し、未来につなげていく」というNECの社会インフラ事業に向けた決意を表現したものである。

 さらに同社は11月19日、「Orchestrating a brighter world」の実現に向けて、自らが着目した「世界が直面する6つの大きな潮流(メガトレンド)」をふまえて「7つの社会価値創造テーマ」を策定し、テーマごとにICTで貢献できる具体的な提案を発表した(下図参照)。その内容は、同社が現在取り組んでいる代表的な事例も含め、「NEC Vision冊子」にまとめて同日に発行している。

photo メガトレンドと社会価値創造テーマ(出典:NECの資料)

 NECは2015年度(2016年3月期)を最終年度とする中期経営計画のもと、ICTを活用して社会インフラを高度化する「社会ソリューション事業」に注力している。新ブランドメッセージは同事業を加速させて中期経営計画の達成を目指すのが当面の目的で、その大もととなる長期ビジョン「NECグループビジョン2017」に沿ったものでもある。

 同社が2007年に策定した“NECグループビジョン2017”では、「人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー」を目指すとしている。これは、企業理念に基づいてNECグループが10年後に実現したい社会像・企業像を記したものだ。

 NECの企業理念は、「NECはC&C(Computer & Communication)を通して、世界の人々が相互に理解を深め、人間性を十分に発揮する豊かな社会の実現に貢献します」。長期ビジョンの「2017」には、「C&C宣言40周年」にあたる2017年に向けたビジョン、という意味が込められている。

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