日本IBMが先週、最新技術を取り込んだメールソリューション「IBM Verse」を発表した。業務の生産性向上などに期待が膨らむ一方、懸念される点もいくつかありそうだ。
「今回の新製品で、電子メールを中心としたワークスタイルの変革を提案したい」
日本IBM 専務執行役員ソフトウェア事業本部長のヴィヴェック・マハジャン氏は11月27日、同社が開いた法人向け新メールソリューション「IBM Verse」の発表会見でこう切り出した。
IBM Verseは、ソーシャル、モバイル、クラウド、アナリティクスを組み合わせた包括的なアプローチによる新しいメールソリューションである。電子メール、会議、予定表といった基本的なメールとスケジュール機能に加えて、ファイル共有、インスタントメッセージ、ビデオ通話など、業務を遂行する中でのコラボレーション(情報共有)手段を「1つの環境に統合」した形だ。
これによって、ユーザーが必要とする処理を優先順位付けし、適切な人や情報を迅速に選別して業務を遂行できるようになるため、業務の生産性向上、さらにはワークスタイルの変革を追求することができるという。
この分野は「コラボレーション基盤」とも呼ばれており、これまでグループウェアが広く利用されてきたが、ここ数年ソーシャルソフトが台頭。最近では両方の機能を融合した製品も登場してきている。そうした中で今回のIBMの新製品は、メールを軸にグループウェアやソーシャルの機能を取り込んだコラボレーション基盤に仕立て上げたものといえる。
IBM Verseの主な機能や特徴については関連記事を参照いただくとして、ここではコラボレーション基盤の分野に詳しいガートナージャパン リサーチバイスプレジデントの志賀嘉津士氏の見解をもとに、このユニークな新製品についてユーザーの立場から期待できる点と懸念される点を考察してみたい。
志賀氏はまず期待できる点として、「新たなコラボレーション基盤を構築するうえで、長年利用されてきたメール機能を軸にしたことは、ユーザーにとって安心感があり、取り掛かりやすいのではないか」と、利用面での敷居が低いことを挙げた。また、「Verseをトリガーにソーシャル機能を有効利用していけば、企業内のコラボレーションを一層深めていくことができる」とも。
さらに、「アナリティクスを有効に活用すれば、業務の流れをさらに効率的に進めることができるようになり、これが生産性を一層向上させるアドバンテージにもなり得る」と、アナリティクス機能が加わったことへの期待感を示した。
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