ビジネスモデルの転換と新規事業領域の市場開拓を──。セイコーエプソンは、今後のさらなるビジネス成長を担う策の1つに「経営資源としての人財をどう生かすか」を掲げる。社員スキルを含む人事情報と教育研修基盤の一元化を目的に導入したITシステムとは何か。
インクジェットプリンタやプロジェクター、産業用ロボット、スポーツ・健康・医療向けのセンシングシステムなどの製品を送り出す、情報関連・精密機器メーカーのセイコーエプソン。現在、60以上の国や地域でビジネスを展開し、グループ全体で7万3000人を超える従業員を抱えている。2009年3月に制定した長期ビジョン「SE15」で、既存の事業領域の商品構成の見直しとビジネスモデルの転換、新規事業領域の市場開拓の基礎固めを進めている。さらに2016年度からの次期中期計画では「コンシューマ向けの画像・映像出力機器中心の企業」から、「プロフェッショナル向けを含む新しい情報ツールや設備をクリエイトし、再び力強く成長する企業」への脱皮を図っている。
その過程で求められるのが「経営資源としての人財をどう生かすか」という人事施策だ。新たなビジネス領域で事業を展開していくにあたり、必要な人財の最適配置を可能にすること。そしてグループ会社を含む国内約2万人のスキルについての人事情報を一元化するため、東芝ソリューションの人財管理ソリューション「Generalist」を基盤としたeラーニングと、集合研修など教育研修全般を管理するLMS(Learning Management System)を整備した。
セイコーエプソンは、1999年頃からeラーニングの基盤となるWBT(Web Based Training)環境を整備するなど、教育研修についての早期より先進的な取り組みを実践してきた。だが、これまでは情報管理や教育制度、スキル開発などは事業部や関係会社ごとに実施しており、グループ全体で共有するまでには至っていなかった。WBTをベースにしたLMSの仕組みも何世代か刷新を繰り返してきたが、人財情報管理基盤を整備する過程でLMSそのものも新たな環境へ刷新する時期を迎えていたという。
「新たなビジネスに向かうための人事システム刷新を行っていく過程で、グループ全体で能力情報を一元管理するための人事情報管理および教育研修の基盤が必要と位置付けました」(セイコーエプソン人事本部人事部の赤沼典昌課長/出典:東芝ソリューションWebサイト)
新たなソリューションを検討するにあたり、以下をポイントにした。
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