なぜ、企業向けSNSを使うと“会議が減る“のかエンタープライズ・ソーシャルが働き方を変える

エンタープライズ・ソーシャル(企業SNS)を導入するメリットの1つが“情報共有の高速化”。情報がより広く、より速く共有されることで、日々の業務はどのように改善されるのか。

» 2015年04月16日 09時00分 公開
[ITmedia]
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 新たな情報共有手段として、企業に急速に広がり始めているエンタープライズ・ソーシャル(企業SNS)。企業が注目する背景と業務にもたらすメリットを探る本連載の第3回では、エンタープライズ・ソーシャルの特徴といわれる“情報共有の高速化”が、企業にどんな価値をもたらすのかを、ビートコミュニケーション代表の村井亮氏と日本マイクロソフトの日野成一郎氏の対談を通じて明らかにする。

刻々と変化するビジネスの進ちょくを誰もが把握できる

Photo 日本マイクロソフトの日野成一郎氏

日野氏 エンタープライズ・ソーシャル(企業SNS)を導入することで、社員が情報を得るスピードは格段に向上します。情報を共有する術がない組織は、メールや会議などのオフィシャルな業務ラインに沿って確認したり、属人的な情報収集に頼るため、伝達スピードが遅く、情報の格差や偏りも生じてしまいます。

 エンタープライズ・ソーシャルでは、常にすべての人がつながった状態にあるので、すばやく正確に情報を伝えられるようになります。

 エンタープライズ・ソーシャルを導入していない企業でも、プロジェクトのメンバー同士が親密なら、状況の変化や進ちょく、認識合わせなどを気軽に伝え合うので、密なコミュニケーションができるかもしれません。

 しかし、共有の対象が広がって、さほど知らない相手とメールで情報を共有する場合にはそうもいきません。フォーマルな書き方をしなければならないし、確実な情報や決定事項など、まとまった情報を発信しようと思うと、メールの内容をまとめるのにも時間がかかってしまいます。

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 エンタープライズ・ソーシャルは、形式にとらわれずに思ったことや気づいたことを気軽に投稿する場であり、それに対する反応を書き込みやすくする仕組みが用意されています。そのため、情報を共有する対象が広がっても、こまめな情報を発信しやすいのです。

 タイムラインには常に最新の情報が投稿され、その情報に関心がある人はいつでも確認できる。発信された情報に対する意見やアイデアも、“思ったときにすぐ書き込める”ので、情報発信者に新たな発見や気づきをもたらします。こうした流れは“情報の質の向上”にもつながるのです。

 例えばシステムインテグレータのHDEは、エンタープライズ・ソーシャルツールのYammerを導入したことで、情報共有のスピードが上がったといいます。

 システム開発の現場では、コーディングやテストなど、日々刻々と変化する進捗に合わせて各工程間の会議を頻繁に行っていました。これをYammerのグループでお互いの進ちょくを共有する形に変えたところ、工程間の動向を逐一、把握できるようになって会議が減り、リソースや工数の最適化をしやすくなったという事例があります。

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村井氏 会議の数を減らせるのはポイントの1つですね。エンタープライズ・ソーシャルツールのBeat Shuffleを導入した、ある国内の家電メーカーも、会議を減らすことが経営改革のテーマの1つとなっていました。

 そのメーカーは、対面で話すことを重視する文化が根づいており、ささいな合意を得るときにも会議を開いていました。エンタープライズ・ソーシャルを通じたすきま時間のオンライン会議を増やしたところ、会議の数を減らすことに成功しています。

知りたいことを“誰に聞けばいいか”が可視化される

日野氏 エンタープライズ・ソーシャルの活用が進むと、社内で知りたいことがある場合に、“誰に聞けばいいか”が可視化されるのもメリットといえます。会社では、“ずっと同じメンバーで、同じような業務を繰り返す”ということはまずありません。統計によると、企業の活動時間のうち60%〜80%が例外的な処理に費やされているそうです。

 例外的な処理は、ほかの部署に問い合わせたり、社内のナレッジを活用したりと、そのつど臨機応変に対応する必要があります。例えばYammerはテーマごとにグループを作成できるので、あるテーマについて調べたいときには、そのテーマを鍵にして詳しい人をすばやく見つけ出せます。

村井氏 確かに、イレギュラーな案件が発生した場合には、急いで人や情報を集める必要がありますね。Beat Shuffleには、Know-Whoと呼ばれる機能があり、社員のプロフィールや得意領域を表示できるので、急ぎで人に聞きたいことがあったり、情報が必要なときに役に立ちます。

Photo Beat ShuffleのKnow-Who。社員の得意分野が一目で分かる

 次回はエンタープライス・ソーシャルの導入が、どんな形で業務の効率化につながるのかを解説します。

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情報共有 | Yammer | ソーシャル機能 | 社内SNS


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