Citrixが年次カンファレンス「Citrix Synergy 2015」を米国フロリダ州オーランドでスタート。基調講演では、XenAppへのコミットや新製品「Workspace Cloud」の開発背景が語られたほか、IoTプラットフォームを使った“近未来の会議”のデモが行われた。
米Citrix Systems(Citrix)は5月12日から3日間、米フロリダ州オーランドで年次カンファレンス「Citrix Synergy 2015」を開催している。
同社はここ数年「ワークスペース(働く空間)」の改善をキーワードにしており、初日の基調講演でマーク・テンプルトンCEOは、ワークスペース作成プラットフォームの「Citrix Workspace Cloud」を正式に披露。同氏が5年前から取り組んだというアイデアがついに完成した。基調講演では既存製品の強化と、新製品「Citrix Workspace Cloud」という2つのトピックが語られた。
Citrixは前回(2014年)のSynergyで、Windowsアプリケーションの配信・管理ソリューション「XenApp」、統合VDIプラットフォームの「XenDesktop」、モバイル管理ソリューションの「XenMobile」、オンラインストレージ「ShareFile」といった製品を統合したスイート「Citrix Workspace Suite」を発表した。その際、同時に打ち出したのが「Software Defined Workspace」というコンセプト――デバイスや場所を問わず、どこでも働ける環境を提供することでワークスタイル変革を実現するという同社のスタンスだ。
Workspace Suiteを発表した昨年(2014年)、Citrixは既存のXenAppユーザーに移行を呼びかけていたが、今回のSynergyでは“XenAppへの回帰”と言っても過言ではないぐらい、XenAppに関する発表が続いた。
まずはXenApp 6.5のサポート延長だ。同7.6への移行を推奨してはいるものの、当初2016年半ばとしていたサポートを2017年まで延ばした。また、プロファイル管理、ストレージ性能の強化に加えて、Microsoftのコミュニケーション製品「Microsoft Lync 2013」のサポート強化などを実現する「Feature Pack」も披露した。
クライアントの「Citrix Receiver」もカスタマイズ可能な“Receiver.next”へと進化し、接続インタフェースも最新版「StoreFront 3」となる。StoreFront 3はXenApp、XenDesktop、XenMobileを利用して配信されるサービスを統合するもので、XenApp 6.5と同7.6を同一環境で実装できるようになるという。「顧客は既存の資産をさらに活用できる」とテンプルトン氏は述べた。
XenApp 7.6については「Feature Pack 2」を2015年6月に提供する。XenApp 6.5 Feature Packと同様に、Receiverが新しくなり、モバイルアプリ環境の「Worx Home」を統合することでアプリへのアクセスを簡素化するという。Lync 2013のサポートについては、WindowsとLinuxに加え、新たにMacもカバーした。このほか、Appleの指紋認証「TouchID」のサポート、高速配信プロトコルの「HDX」と2014年に買収した仮想デスクトップ・アプリケーション配信技術「Framehawk」の統合、さらにLinux仮想デスクトップ機能も導入する。
テンプルトン氏は、XenAppについて「現在100万以上のアプリが公開されている。最もパワフルなアプリパブリッシュメカニズムだ」と胸を張る。ヘルスケア、製造、金融、教育、公共部門などさまざまな業界で利用されており、金融業界では上位20の銀行で利用されているという。「XenAppの将来について不安に思わせたかもしれないが、われわれはXenAppが大好きだ。なぜなら、あなたがたがXenAppを好きだから」と述べると、会場から大きな拍手が起こった。
XenMobileについては「Microsoft Exchange」「Office 365」のタスクと統合可能なタスク管理「WorxTasks」など3種類のアプリが加わる「XenMobile 10.1」を発表したShareFileでは、既存のEnterprise Editionに加え、Platinum Editionを新たに導入する。データ容量が無制限になる点や、電子署名のサポートといったセキュリティの強化がポイントで、2015年6月に提供を開始するという。
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