上司よ、内弁慶をやめ、街へ出よう上司はツラいよ(1/2 ページ)

多くの時間をともに過ごし、同じ目標を持つ社内の人と一緒にいるのが気持ちいいのはよく分かる。しかし、同じ文化、同じような考えの人とばかりと話していると、“自分の世界が全て”という、“引きこもり上司”になる恐れがあるから要注意だ。

» 2015年05月22日 10時00分 公開
[田中淳子ITmedia]
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 現代の管理職は忙しい。自分のすべきことをしつつ部下たちをうまく動かし、目標達成を目指す“プレイングマネージャ”が増えているからだ。しかし、あまりに忙しすぎるのも考えもの。自分でも気づかぬうちに、社内の人としか関わりを持たない“引きこもり上司”になっていることがある。

 人は物事を判断する際、自分の価値観や考え方、日常の行動パターンなどを基準にしやすい。内弁慶になって社内に引きこもってばかりいると、思考や行動がワンパターンになり、発想の幅が広がらなくなっていく。次第に“偏った判断”が目立つようになり、他社では通用しないことを“当たり前”と思うようになるからおそろしい。

 Aさんもそんな経験をした1人だ。

 Aさんの上司は、40代前半で誰よりも早く部長に出世したことから、“自分の考えがすべて”というタイプ。“自身の努力が成長につながる”という確固たる考えがあり、「人を育てること」にまるで無関心だった。「人に育ててもらわなくても、自分で努力して能力を高めればいい。私は必要な勉強は自分でやってきた」――。そう言って、後輩の指導や若手の研修に全くといっていいほど理解を示さなかったという。

 いくら「若手を育てる機会作りが必要」と説明しても、上司から受け入れてもらえなかったAさんは、たまたまあるイベントで知り合った他の企業の人たちに、この話をしてみた。すると、皆、一様に「え? 人を育てなくていいと考えている人がいるの?」と驚き、Aさんも「あぁ、やはり、人は勝手に育つものじゃないよね。育てる環境や機会が必要という私の考えは、間違ってない」と思い直したという。Aさんは、自分の考えを整理したり、まとめ直すために社外の人との会話を生かしたのである。

“内弁慶”がもらたらす“自分の世界が全て”という病

 “社内にいるほうが気持ちいい”と思う気持ちもよく分かる。多くの時間をともに過ごし、同じ目標を持つ社内の人間のほうが、話が通じやすいし摩擦も少ない。また、管理職ともなれば、社内政治も大事になるから、つい社内交流にばかり力が入ってしまうこともあるだろう。

 しかし、社内に引きこもって、同じ文化、同じような考えの人とばかりと話していると、“自分の世界が全て”という感覚に陥りやすい。こうして視野が狭まると、部下に偏ったことばかりをいうようにもなりかねないのだ。その結果、部下が育たなくなるだけでなく、反発を買うことすらあるだろう。

 加えてマネージャは、他の人から誤りを指摘されることも少ないから、“裸の王様”になっていてもなかなか気付かない。だからこそ、意識的に社外に出るよう心がけ、他者と関わる機会を作ることが大事なのだ。

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