NEC、先端技術使うマイナンバー対応の一連システム 企業向け販売も

NECグループが、顔認証・SDN・画像認識などの先進技術を活用したマイナンバー制度対応システムを構築。蓄積したノウハウを企業向けのマイナンバー対応ソリューションにも適用する。

» 2015年06月29日 15時59分 公開
[岩城俊介ITmedia]

 NECは6月29日、グループ全社が安全、確実にマイナンバー制度へ対応するための取り組みとして、番号の収集、保管、運用を効率的かつ強固なセキュリティで実現する一連のシステムを構築したと発表した。

photo マイナンバー対応と適用技術の全体イメージ図(出典:NECの資料)

 マイナンバー制度への対応に、高精度な顔認証技術による入退室管理や先進のネットワーク技術 SDNを活用した「専用オペレーションルーム」、サイバー攻撃の常時遠隔監視などのセキュリティ対策を実現した「個人番号管理システム」、画像認識技術で収集時の入力ミス低減とペーパーレスを推進する「スマートフォン用アプリケーション」など、同社の先端技術を組み合わせて構築した。

 NECは、中央省庁や自治体向けにシステム構築やセキュリティソリューションを提供するとともに、企業向けにもこのマイナンバー対応ソリューションを販売する。先進技術によりマイナンバーの収集・保管・運用を効率的に行い、セキュリティやコンプライアンスに関するより高度な企業向けコンサルティングやソリューション提供を行うために蓄積したノウハウによって、マイナンバー対応ソリューション・サービスの開発・販売を強化する。

photo 画像認識技術を採用した「スマートフォン用マイナンバー収集アプリケーション」。収集時の入力ミス低減とペーパーレスを推進する

マイナンバー制度とは

 マイナンバー制度は、2013年5月24日に成立した「マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)」によって、複数の機関に存在する個人の情報が「同一の人の情報である」ことの確認を行うための基盤である。2016年1月に開始する。

 国民一人ひとりに固有の12ケタの番号の「マイナンバー」を割り当て、それに基づき国民の生活や収入など各自の事情に応じた行政サービスの迅速化を図る目的で導入される。主に(当初は)、社会保障制度(年金、医療、介護、福祉、労働保険)、税制(国税、地方税)、災害対策に関する分野に使われる。2015年10月5日よりマイナンバーが付番された通知カードが国民一人ひとりに届き、個々の申請手続きによって個人番号カードが交付される。

 利用機関は行政機関や自治体などだが、社会保障や税に関する帳票や届出への記載に必要な従業員のマイナンバー収集や以後の管理は個々の民間企業、ないしその委託先が担う。例えば、税分野では、税務当局へ申告する各企業が番号の収集と管理を行い、給与所得の源泉徴収票などさまざまな帳票へ記載する対応が必要となる。基本的には、すべての民間企業や団体が当てはまるものとなる。

 マイナンバーを含めた個人情報は「特定個人情報」と定義され、取り扱いが厳格に規定される。これまでの個人情報保護法では対象外(5000件以下)の事業者であっても、それを1件でも取り扱うならばマイナンバー法における「個人番号関係事務実施者」となり、規制の対象になる。罰則も個人情報保護法より種類が多く、法定刑も重くなっている。一例として、正当な理由なく業務で取り扱う特定個人情報を提供した場合「4年以下の懲役または200万円以下の罰金」が科せられることがある。

 マイナンバーの取り扱いにおいて民間企業は「必要な範囲を超えて扱わない」「情報漏えいしないよう安全に管理する」「取り扱う従業者を教育、監督する」「委託先を監督する」などの義務や責務を負う。具体的にはマイナンバー制度の開始までに、マイナンバーの収集において厳格な本人確認を行うシステム、情報漏えい防止のための安全管理処置を講じること、そのための社内ITシステム改修やポリシーの制定、改訂を行っていく必要がある。データ保護の方法については、例えば「データの暗号化」や「パスワード保護」、そして「暗号鍵やパスワードの適切な管理」を行うようガイドラインで示されている。

 マイナンバー関連業務をアウトソースするにも、その委託先(その委託先の委託先も含めて)が適切かつ安全に管理、運用しているかを自社が監督する義務がある。漏えい事故が発生すれば、自社も罰則の対象になる。アウトソーシングサービスの選定も、マイナンバー法施行に対応した安全、確実な対応と対策手段を設けている事業者かを見極める必要がある。




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