機械学習の実用化を進めるGoogleが、Gmailのスパムフィルターに人工ニューラルネットワークを採用した。ユーザーによってスパム判定をパーソナライズする機能も追加した。
米Googleは7月9日(現地時間)、Gmailのスパムフィルターに人工ニューラルネットワークを採用したと発表した。これにより、これまでフィルターをかいくぐってきたようなスパムもフィルタリングできるようになったとしている。
Googleによると、現在Gmailで受信箱に表示されてしまうスパムの量は、ユーザー平均で全体の0.1%未満であり、誤ってスパムにされてしまうメールは0.05%以下という。
同社は2012年6月に、人間の脳をシミュレートする人工ニューラルネットワークの研究成果を発表した。この段階では同社の人工ニューラルネットワークは1万6000個のCPUコアで、動画を学習することで猫の写真を識別できるようになるというもので、将来的には画像だけでなく、音声や自然言語でも実用化するとしていた。
スパム判定ではさらに、機械学習機能を強化し、スパムの基準をユーザーごとに最適化するとしている。例えば企業からの週報が、あるユーザーにとっては有用でも他のユーザーにとっては迷惑な場合、後者のユーザーのGmailではスパムと判定するという。
さらに、具体的な方法は示していないが、機械学習により、従来よりもなりすましメールの除去を強化したという。
一方、顧客向けに大量のメールを送信する企業に向けて、重要なメール(銀行から顧客に宛てた入金通知など)がスパムと判定されないようにするための「Gmail Postmaster Tools」の提供も開始した。
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