紙の書類を瞬時にデータ化 iPhone用スキャンアプリを試す(Scanner Pro 6編)職場で役立つデジタル化レシピ

紙の書類をデジタルデータに変換する方法として最も手軽なのは、スマホのカメラ機能を使った撮影だ。スマホ向けのスキャンアプリのうち、今回はiPhone用アプリ「Scanner Pro 6」を紹介する。

» 2015年07月22日 07時00分 公開
[山口真弘ITmedia]

この連載は

 保管コストの削減はもとより、劣化の防止や検索性の向上、再利用の促進などさまざまな利点が認められ、徐々に広がりつつある紙の文書や帳票のデジタルデータ化ですが、用途や目的を考慮せずにむやみにスキャンすることでかえって効率が悪くなったり、作業に手戻りを発生させてしまうことも少なくありません。

 また商法や税法で保管が義務付けられている文書の場合、電子帳簿保存法やe-文書法などのルールに則った手順を踏む必要があり、自分の判断でやみくもにデータ化するわけにいかないといった事情もあります。

 本連載ではこうした現在の状況を踏まえつつ、文書のデータ化にまつわる情報、さらにはフォーマットであるPDFや変換機器であるスキャナ、保存先となるストレージに至るまで、業務現場と情報システム部門に役立つ知識やTips、活用術を幅広く紹介していきます(著者より)


 「Scanner Pro 6」は、Readdleが提供するiOS用のスキャンアプリ。価格は120円で、試用時のバージョンは6.0。海外のアプリだがインタフェースは日本語化されている。

 本アプリの特徴は、書類を認識すると自動的にシャッターを切る自動スキャンモードを搭載していること。タップすることなく撮影が行え、手ブレ補正機能を備えているので、細かい文字でもブレなく取り込める。連写機能も搭載しているので、複数ページを連続して取り込み、1つのPDFファイルとして出力することもできる。

 自動スキャンモード利用時は台形補正まで自動で行えるので、余計な手間をかけることなく、多数の書類を効率的に取り込める。手動での補正モードも用意されているので、うまく認識できなかった台形の輪郭を手動で修正したり、明るさやコントラストを調整することも可能だ。このほかカラーモードの変更(カラー/グレー/白黒)にも対応している。

 保存機能も充実している。メールへの添付や印刷、JPG形式でのカメラロールへの保存のほか、オンラインストレージへの保存にも対応しており、事前に指定しておくことで自動アップロードにも対応する。このほか、Wi-Fiアクセス機能を用いることで、PCなどのブラウザから直接ログインして書類をPCにダウンロードする機能も備える。またiCloudとの連携にも対応する。

 ほかのアプリにあって本アプリにないのが、OCR機能。書類のテキストデータ化を行う場合は、別のアプリやサービスを使う必要がある。またPDFにパスワードを追加する機能は搭載していないので、PDFにパスワードをかけたい場合は、外部のソフトやサービスを利用する必要がある。なお、クラウドサービスとの連携などに制限のある無料版「Scanner Mini」も用意されている。

OK
  • 自動スキャンモードで多数の書類も連続取り込み、補正も自動
  • クラウドサービスへの自動保存に対応

NG
  • OCR機能がない

■Scanner Pro 6の主な機能
項目 機能
自動スキャン
台形補正(自動)
台形補正(手動)
曲面補正 ×
明るさ・コントラスト調整
カラーモード変更
文字のテキスト化 ×
形式 PDF/JPG
クラウドサービスへのアップロード

Photo 撮影画面。四隅をきちんと認識しているかはリアルタイムで確認できる。フォーカスが合うと自動で撮影するモード(自動スキャンモード)も備える
Photo 自動スキャンモードがオンだと台形補正や色の調整は自動実行される
Photo 自動補正がうまくいかなかった場合は手動での補正も可能。カラーモードも変更できる
Photo アプリ内にスキャンデータが保存されているうちは、何度でも補正のやり直しが可能
Photo スキャンデータはメール添付や印刷、iCloudへの書き出しなどに対応。アプリ内課金でFAX送信を行う機能も用意されている
Photo DropboxやOneDrive、Evernoteなど多数のクラウドサービスと連携する
Photo 設定画面。指定したクラウドサービスに対し、撮影後に自動アップロードする機能も備える
Photo 書類の圧縮機能や手ブレ補正、アプリの起動時にパスワードを要求する機能など設定項目は豊富
Photo カメラロール内をスキャンし、書類に似たデータを検出するというユニークな機能も備えるが、精度はいまいちのようだ

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