カメレオンコードは、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色を使ったカラーバーコード。バーコードの発行はプリンタで行え、認識用のリーダーにスマートフォンやWebカメラを使える。安価に導入できることから、ICタグのコスト面のデメリットを補うことができた。
蔵書確認のチェックにも手間が掛からなくなった。本の背に張られたカメレオンコードにカメラをかざすと、認識したコードの周囲に色枠が表示され、認識漏れがないかを確認しながら作業ができるようになったからだ。
セルフ予約棚についても、書籍のありかを安価なWebカメラを使って確認できるため、導入コストの大幅削減につながったという。
ICタグとカメレオンコードの導入で実現したセルフ予約棚とセルフ貸出機は、利用者から「操作が思ったより簡単」「一度に複数の書籍の貸し出し処理ができて便利」「自分の予約資料を探すのが楽しい」といった声が挙がっている。しかし、「これまでは職員がやってくれていたのに、自分でやらなければならなくなり面倒になった」という戸惑いの声も少なからずあるという。
ICタグとカメレオンコードのハイブリッド活用で運用の効率化に成功した町田図書館は、新たなサービスの検討も始めている。
1つは、これまで1年ごとに行っていた蔵書点検の日常化だ。毎日、一定数の書架の本についてカメレオンコードを読み込み、リスト化することで、異なる分類の書籍が書架にまぎれこんでいるのを発見できるようになる。気づいた時にすぐ、正しい棚に戻すようにすれば、「あるはずの本が棚にない」という問題を減らすことが可能だ。
もう1つは、利用者に対する書籍情報の配信だ。例えばカメレオンコードを読み取れるアプリを利用者に配信すれば、書名や著者名、出版社、発行年、分類などの情報を提供できるようになる。そこから町田図書館が所有する同じ著者の本や、他の図書館にある本も探せるようになれば、利用者の利便性が向上すると吉岡氏は話す。
今や図書館は、本を借りて読むだけの場所ではなく、本を通じてその土地の文化を発信したり、コミュニティーづくりを支援したりと、さまざまな役割を担うようになっている。
こうした時代の変化に対応するためには、スタッフが書籍の管理に追われる時間を減らし、さまざまな企画を考えられる時間を増やすことが重要になってくる。ITは、そんな図書館を支える心強いパートナーといえるだろう。
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